Tirumara属内のフェロモン運搬粒子PTPsの微細構造の比較

  • 橋本 恵
    Biosystematics Laboratory, Faculty of Social and Cultural Studies, Kyushu University
  • 矢田 脩
    Biosystematics Laboratory, Faculty of Social and Cultural Studies, Kyushu University

書誌事項

タイトル別名
  • Comparison of microstructure of pheromone transfer particles (PTPs) in the genus Tirumala (Lepidoptera, Nymphalidae, Danainae)

この論文をさがす

抄録

コモンマダラ属Tirumalaの性標内にあるフェロモン運搬粒子PTPsは,雌に交尾相手を正確に認識させるものであり,フェロモンの化学成分とともにこのPTPsの形態にも種特異性が認められる可能性がある.そこで,走査型電子顕微鏡を用いて,Tirumala属7種のPTPsの形態を観察し比較した.その結果,T. gautama, choaspes, ishmoides, septentrionis, hamataのフェロモン運搬粒子(PTPs)は,形状に若干の違いはあるものの,どれもおおむね丸い形状をしている.一方,T. limnicaeとアフリカに分布するT. petiveranaのPTPsは,特有の多面体をしており,粒子の大きさは若干小さい.T. limniaceの特異なPTPsの形態は,フェロモンの種特異性などTirumala属の他の種との明確な性的隔離を反映している可能性が高いと考えられる.また,Tirumala属の中で熱帯アジア産T. limniaceとアフリカ産T. petiveranaのPTPsの形態が相互に類似することは,かつて両者が同種に扱われていたように両者は互いに極めて近縁の種であることを支持する証拠となる.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 58 (2), 177-182, 2007

    日本鱗翅学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ