新入生に対する「入学以前の結核感染の機会」に関する調査の有用性について : 学校保健における結核ハイリスクグループの把握(推薦論文,VI.原著論文)
書誌事項
- タイトル別名
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- Usefulness of health survey regarding hospitalization for tuberculosis of incoming students themselves and people with whom they have been in contact : Identification of high risk groups for tuberculosis in campus health
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抄録
神戸大学で,2年次学生を発端者とする結核集団感染が発生した。その後の調査により,この学生が神戸大学に入学する2ヶ月前に,高校3年次の同級生が'排菌'を伴う結核で入院していた事が判明した。また,他の大学に進学した当時の同級生2名と副担任1名も,神戸大学における発端者とほぼ同時期に結核を発病していた。結核菌のDNA分析により,神戸大学における結核集団感染の発儒者と同級生2名および副担任1名の起炎菌は同一株と判明し,これら4名の者は全て,高校3年次の患者から感染し,約1年~1年半を経て発病したものと考えられた。翌春,新入生全員 (3,871名)に「入学以前の結核感染の機会」など'結核'に関する質問項目を含む健康調査を実施した。調査用紙を提出した3,797名(回収率 98.1%)の中に,「結核治療中の者」はいなかったが,「過去に結核の治療を受けた者」が14名(0.4%)存在した。また,「結核で入院したり,入院している人が周囲にいる者」が118名(3.1%)〔(1)現在5名,(2)過去1年以内36名,(3)過去1~2年16名,(4)3年以上前61名〕存在した。神戸大学における事例や,結核菌感染から発病までの一般的な期間に鑑み,(1)~(3)の計57名は,新入生健康診断時の胸部X線撮影では異常がなくても,在学中に結核を発病する可能性の高い集団と考えられた。以上のことから,新入生に対して「入学以前の結核感染の機会」について調査することは, 発病の可能性の高い学生を予め把握し,結核集団感染を未然に防ぐ上で極めて有用であると考えられた。
収録刊行物
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- 神戸大学保健管理センター年報
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神戸大学保健管理センター年報 23 83-88, 2003-04
神戸大学保健管理センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050575520348891648
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- NII論文ID
- 110007124064
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- NII書誌ID
- AN10086065
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- HANDLE
- 20.500.14094/81001499
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- ISSN
- 09157417
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles