インプラント埋入時における歯槽骨欠損部の新生骨再生過程に及ぼすPRP(多血小板血漿)の影響

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タイトル別名
  • Effect of platelet-rich plasma on new bone formation in alveolar bone defects around dental implants
  • インプラントマイニュウジ ニ オケル シソウコツ ケッソンブ ノ シンセイコツ サイセイ カテイ ニ オヨボス PRP タケッショウバン ケッショウ ノ エイキョウ

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抄録

本研究の目的は,インプラント体周囲の歯槽骨に及ぼすPRP(Platelet-rich plasma)の影響を明らかにすることである.現在までPRPに関して様々な報告がなされているが,インプラント埋入後の骨形成初期過程においてPRP中のどのような成長因子が,インプラント体周囲の新生骨形成を促進しているのか,さらに,骨質,新生骨量および術前と術後の新生骨の骨石灰化速度の違いについては明確にされていない.そこで本研究は免疫組織化学的染色ならびに組織学的手法で上記の点を観察した.雌性ビーグル成犬6頭を用い,実験的にインプラント埋入時の骨裂開を想定した歯槽骨欠損を作製し,欠損部にインプラント体を埋入した.それぞれのインプラント体周囲の骨欠損部に血餅群,自家骨のみを移植した群,PRPのみを移植した群およびPRP+自家骨を移植した群に分けて比較検討した.インプラント体周囲の骨欠損部へPRPを併用することにより,以下の結果を得た.1.組織学的所見において,PRP+自家骨移植群に幼若な新生血管および新生骨を認めた.2.免疫組織化学的所見において,初期過程に放出される成長因子はいずれの過程においてもTGF-βおよびbFGFが高値を示した.また,PRP+自家骨移植群において早期のVEGF陽性反応を認めた.3.骨組織形態計測法による観察において,骨質,新生骨量および術前と術後の新生骨の骨石灰化速度が明らかになり,PRP+自家骨移植群では他の群と比較して骨質,新生骨量および骨石灰化速度のすべてにおいて高値を示していた.また,PRP移植群に比べ自家骨移植群に新生骨形成能があることを認めた.さらに,Villanueva bone stainは新生骨の観察には有効な手法であると考えられた.以上の結果より,インプラント体周囲の骨欠損部に対する自家骨移植にPRPを併用すると,組織の創傷治癒に必要な血管の増生を促進し,長期的な骨再生に効果があることが示唆された.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 72 (1), 18-33, 2009

    大阪歯科学会

参考文献 (12)*注記

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