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- 菊地 信之
- 日本大学大学院松戸歯学研究科臨床病理学専攻
書誌事項
- タイトル別名
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- Basic Research on the Rehardening of Demineralized Root Canal Dentin : Second Report: Strength of Core Resin Bonding to Rehardened Root Canal Dentin
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抄録
残根状態の歯は根管内に多量の軟化象牙質が認められることが多く,この状態では支台築造は不可能である.また,軟化象牙質を除去すると残存する健康象牙質は薄くなり通常は抜歯となる.第1報において,軟化した根管象牙質の再硬化あるいは再石灰化させることを目的とし実験を行った.実験材料としてナノ化したハイドロキシアパタイト(HA)を応用した.その結果,完全軟化した人工軟化根管象牙質はナノ化HAが象牙質内深層部まで能動的に浸透することによって,ほぼintactの象牙質の硬さまで再硬化した.今後,補綴処置を行ううえで再硬化された根管軟化象牙質の接着性について検討することが必要である.支台築造には材料としてメタルによるものとレジンによるものがある.レジンはHAと直接接着することにより接着強さが強固になるという報告がある.よって本報では再硬化された軟化根管象牙質へのレジンの接着性について実験を行った.接着強さの測定は根管内に充填されたレジンを打ち抜くという方法で行った.その結果,ナノ化HAの作用により再硬化された人工軟化根管象牙質は,intactの根管象牙質と比較して35%程度の接着強さを示した.さらに接着強さを向上させるためナノ化HAを作用させた後,デンティンプライマーの35% 2-Hydroxyethyl methacrylate(HEMA)水溶液を作用させた.その結果,接着強さは64%まで向上した.SEMにおいて,象牙質の基本的な構造が認められ,また象牙細管内にはレジンタグの残存が観察されることから,ナノ化HAの作用により再硬化されそして接着性が現れていることも確認された.根管にテーパーをつけるほど接着強さは向上した.さらにナノ化HAの量が多いほど接着強さが向上することがわかった.前報そして今回の実験結果より,抜歯せず軟化象牙質を保存し,支台築造そして歯冠補綴処置を行えることがわかり,より確実な治療ができる可能性が示唆された.
収録刊行物
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- 日本歯科保存学雑誌
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日本歯科保存学雑誌 51 (5), 557-564, 2008
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205522414464
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- NII論文ID
- 110007151253
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- NII書誌ID
- AN00191201
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- ISSN
- 21880808
- 03872343
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可