29. 阪神・淡路大震災を教訓とした東海地震対策の見直し : 静岡県地震対策300日アクションプログラム

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抄録

静岡県の地震対策は、大規模地震対策特別措置法(以下「大震法」)に基づく東海地震対策を柱として作られ、地震予知を前提に構築している部分が多く、地震予知の確度は別にしても今回の阪神・淡路大震災により現行の対策全般について、突然発生する大地震の対応について緊急に充実することとした。阪神・淡路大震災の発生から4か月目に当たる5月17日、静岡県は「地震対策300日アクションプログラム」を策定して発表した。現行の地震対策にバリエーションを持たせ、さらに深める視点で総点検し、原則として発表の日から300日以内に具体化を図る行動計画である。この検討過程において、奥尻島の津波災害から得られた教訓をも踏まえ、本県が進めてきた神奈川県西部の地震の対策についても点検を行っている。併せて、市町村計画の見直し、あるいは県下5千余の自主防災組織の資機材の充実や活動の活性化を図るよう、市町村と自主防災組織に対しても現在の防災体制や保有資機材の点検を依頼した。アクションプログラムの作成には各部局検討委員会及びワーキンググループから広く提案を得て、ポトムアップによる集約作業を行った。一方、地震対策の基本から演鐸的にブレイクダウンして、各般に亘る対策に欠落が生じないよう留意した。その結果、約1.600の提案から307の事項に整理した。それぞれのアクションの導き方は、阪神・淡路大震災などから得られた教訓(事実・教訓)、どのように対応すべきか(基本姿勢・対策)、何を行うべきか、様々な対応方策をどのように具体化するのか(アクション)の各視点で、順次考察し、具体的方策について検討した。集約した307の事項を内容別に30の点検項目に分類した。さらに時系列に目標とすべき対応を、まず地震発生直後の防災対策として「災害発生時の初動態勢の確立」、救援支援や応急対策として「迅速な救出、救護、消火対策の確立」、生活安定と秩序の確保対策を「秩序だったきめ細かな被災者対策の確立」、応急復旧の対策及び事前対策その他を「地震災害に強い県づくり」の4体系に整理した。アクションプログラムの実施については、緊急に予算措置する必要がある89事業を6月補正で約78億円を計上した。プログラムの推進のため推進会議を定期的に開催し、進捗の状況報告をするとともに個別のアクションについても具体化の促進を図ることになっている。さらに300日を経過した後も各部局は 地震対策の総点検を行い、何時大地震が発生しても迅速的確な災害業務対応ができるよう、地震防災体制を万全なものとしていくこととしている。

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