36.阪神・淡路大震災と社会福祉施設 : 地域のマイナス資源からプラス資源へ

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本報告は、阪神・淡路大震災の被災地の社会福祉施設が経験した震災の被害状況、地震発生後の生活確保状況、さらに地域社会で果たした役割等に関する調査研究をとりまとめたものである。これまでの「災害弱者」の捉え方は、発災時の緊密対応期において、生命を守るというフェーズに弱い部分のある人を対象としてきた。したがって、身体的・精神的なハンディキャップを持つ人たちが生活する社会福祉施設は、緊急対応期における災害弱者が集まった、災害に対して非常に弱い施設として位置づけられてきた。しかし、阪神・淡路大震災で被災した社会福祉施設の被害並びに対応状況を調査すると、社会福祉施設=災害弱者施設と、一概に決めつけることができないことが明らかとなった。それどころか、阪神・淡路大震災の際には、社会福祉施設が地域住民の拠点として、様々な役割を果たしている。都市から社会福祉施設を隔離してしまうことのないよう、さらに、災害時のみならず日常的にも、地域社会の中で重要な社会資源として社会福祉施設が機能するよう、「弱者」と「健常者と思い込んでいる人たち」との共存できる都市を取り戻すことが大切である。

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