丹沢山塊における中新世造山時深成活動

書誌事項

タイトル別名
  • MIOCENE SYNOROGENIC PLUTONISM IN THE TANZAWA MASSIF
  • 丹沢山塊における中新世造山時深成活動〔英文〕
  • タンザワ サンカイ ニ オケル チュウシンセイ ゾウザンジシンセイカツドウ エイブン

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抄録

丹沢山塊は主として中央部の石英閃緑岩休とそれをとりまく緑色凝灰岩の厚さ約10,000mにおよぶ中新統からなる。この中新統は丹沢層群と愛川群に大別される。丹沢層群の岩相は比較的塩基性からより酸性の火山活動への推移を示し,層厚は,中心部できわめて厚く,南・北へむかっていちぢるしくうすくなる傾向を示し,地向斜堆積層の性格をよくあらわしている。この中心部に石英閃緑岩の貫入をうけている。この層群にみられる東西性の褶曲構造は,石英閃緑岩体の形態とよく調和しており,造山時深成岩活動を表現している。またこの層群にみられる東西性の断層は地向斜の沈降期のものと上昇期のものにわけられる。愛川層群の岩相は塩基性・中性の火山活動をあらわしており,層厚は,調査地において,北にうすく南にあつい傾向を示し,山塊の縁辺部に発達している。丹沢層群にみられるような東西性の褶曲構造や断層構造はみとめられない。丹沢山塊の中新統にみられる造山運動の経緯は,丹沢層群堆積の中央部沈降の時期から石英閃緑岩体の貫入をともなう中央部上昇の時期にうつり,それとともに沈降の中心は縁辺部にうつって,愛川層群の堆積をもたらしている。この沈降地域の移動は,丹沢層群の下部から上部への層厚の変化,中・下部が火山岩類からなり,上部に泥岩・砂岩・礫岩をともなうという岩相変化,丹沢層群の中・下部に脈岩をともない上部には欠けていること,愛川層群中・下部が火山岩類堆積物であり,脈岩をともなっていること,つまり火山活動の中心部が移動していること等で論理づけられる。愛川層群堆積後,山塊全域の上昇があり,その後,小仏層群が山塊に衝上し,藤ノ木一愛川断層を形成している。

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 1964 (70), 1-14, 1964

    地学団体研究会

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