北海道における択伐が原生的な亜寒帯性針広混交林のカミキリムシ相とキクイムシ相に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of selection cutting on the longicorn and scolytid beetle assemblages in an old-growth boreal mixed conifer-broadleaf forest in Hokkaido
  • ホッカイドウ ニ オケル タクバツ ガ ゲンセイテキナ アカンタイセイ シンコウ コンコウリン ノ カミキリムシソウ ト キクイムシソウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

原生状態にある森林の択伐が,木材穿孔性甲虫であるカミキリムシとキクイムシに与える影響を明らかにするために,北海道の原生状態にある針広混交林に択伐区と無施業区を設定し,択伐前後に誘引剤を用いた衝突板トラップでカミキリムシとキクイムシの捕獲調査を行った.トラップ当たりの種数,個体数,多様度指数,種構成,種別個体数を択伐区と無施業区で比較した結果,カミキリムシでは択伐前には有意差がみられなかったが,択伐2年後には択伐区で種数が有意に多くなり,その上ハナカミキリ亜科3種の個体数も有意に増加した.これは択伐による林内照度の増加や林冠の開放により,訪花性のハナカミキリ類がトラップに誘引されやすくなったためと考えられる.一方,キクイムシでは種数,個体数,多様度指数,種構成,種別個体数のいずれについても択伐による影響はみられなかった.これまでの研究では,択伐による昆虫類,とくに枯死材性種の減少が報告されている.これに対し,今回の調査で択伐による種数や個体数の減少が検出されなかった原因としては,(1)択伐による枯死木の減少がなかった,(2)設定した調査区が狭かった,(3)調査林分が小面積の孤立林であったことが考えられる.

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