早期教育がもたらす幼児のストレスに関する調査研究 : 尿中17-KS値を指標として(論文編) A Study on Relationship between Stress and Early Education of Infants : From The Value of Urinaly 17-Ketosteroid(Reports)

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抄録

本研究は,昨今非常にブームになっている幼児期における早期教育に注目し,早期教育がもたらす幼児のストレスについて探索しようとしたものである。対象は,仙台市内の私立幼稚園に通う園児(4〜5歳の男女)計42名と,その保育者(母親)である。まず,保育者にアンケートを配布し,早期教育の実態とその背景となる要因等について調査した。次に,園児のストレス指標のひとつである尿中17-KS値と,尿中Crn.値を測定することによって,園内生活により受ける園児の心理的・身体的ストレスについて探索した。研究成績の概要は,以下の通りである。1.アンケート調査の結果1)習い事をしている早期教育群(以下,教育群)は,約半分以上の割合(57.1%)を占めていた。2)教育群の幼児の特徴としては,非早期教育群(以下,非教育群)に比して「兄弟数」や「ファミコン時間」等が共々に少ない傾向にあることが認められた。3)教育群の保育者の特徴としては,非教育群の保育者に比して「自分よりも上の学歴を望む」ケースが多かったことから,教育群の保育者ほど子どもの教育には熱心であり,幼児期の早期から知的教育に走りやすいのではないかと推察された。II.尿中ストレス指標についての成績1)2群間における尿中17-KS値の登園時から下園時にかけての低下傾向を,変動率で比較してみると,教育群(28.4%)>非教育群(16.3%)であったことより,教育群ほど園内生活で受けているストレスは大きいのではないかと推察された。2)同じく,尿中Crn.値の変化について比較してみると,教育群では下園時に低下しているのに対して,非教育群では逆に上昇していた。3)同様に,補正値(尿中17-KS値mg/g・尿中Crn.値)について比較してみると,教育群では下園時にかけて上昇しているのに対して,非教育群では尿中17-KS値同様に低下していた。以上の成績から,早期教育群は非早期教育群に比して,園内での身体的活動が不活発であることが推察された次第である。本研究のまとめとして,未就学児を対象とした『早期教育』については議論が盛んなわりには実践の研究データが乏しいのが現状であり,成功例ばかりが取り上げられている。しかし,もしも幼児の気持ちや要求を無視した一方的な早期教育では,幼児の心や体に大きなストレスを生じさせ,心身の発達を妨げる原因になることが予想されることからも,早期教育がもたらす弊害が懸念される。したがって今後の課題としては,子どもの全体的発達から見た早期教育のあり方や,その効果に関する研究の積み重ねが重要であると考えられた次第である。本研究の成果が,今後の幼児期における『早期教育』のあり方を考えていく上での参考にでもなれば幸いである。尚,本研究の一部は,第45回東北学校保健学会(平成9年9月13日;福島市)において発表した。

収録刊行物

  • 東北生活文化大学三島学園女子短期大学紀要

    東北生活文化大学三島学園女子短期大学紀要 28, 65-73, 1997

    東北生活文化大学・東北生活文化大学短期大学部

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110007173016
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10593595
  • 本文言語コード
    JPN
  • 雑誌種別
    大学紀要
  • ISSN
    13425838
  • NDL 記事登録ID
    4426728
  • NDL 雑誌分類
    ZV1(一般学術誌--一般学術誌・大学紀要)
  • NDL 請求記号
    Z22-594
  • データ提供元
    NDL  NII-ELS 
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