市民・行政・研究者の協働による絶滅危惧種カワラノギク保全活動の取り組み : 多摩川における保全の実践とその評価

書誌事項

タイトル別名
  • Conserving Aster kantoensis through a partnership involving citizens, public administration, and researchers
  • シミン ギョウセイ ケンキュウシャ ノ キョウドウ ニ ヨル ゼツメツ キグシュ カワラノギク ホゼン カツドウ ノ トリクミ タマガワ ニ オケル ホゼン ノ ジッセン ト ソノ ヒョウカ

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抄録

市民・行政・研究者の協働による絶滅危惧種カワラノギクの保全活動(カワラノギクプロジェクト)が2002年より東京都の南西部を流れる多摩川中流域において実施されている。河川生態学術研究会多摩川グループは、2001〜2002年に造成した実験地(面積:7,200m^2)にカワラノギクの種子(計18,000粒)を播種した。実験地を裸地として維持するため、カワラノギクプロジェクトは河川生態学術研究会の一環として発足し、競合する大型多年生草本類を毎年初夏と秋に除草した結果、2006年秋の開花個体数は35,000株を観察できた。植物の繁茂にともなう除草作業量の増加に対応するため、2005年よりプロジェクトメンバーの公募を行い、多くの市民を受け入れた。活動への参加人数の増加に伴い、研究者主体の運営体制では事務作業の実施が難しくなったため、2007年4月に協働の体制を見直して、運営における役割を市民・行政・研究者で分担することとした。2007年の活動を終えて、見直し前から活動していた市民から意見聴取し、新体制を評価した。体制が整って参加しやすくなったなど良いイメージを持っている人が多かったが、市民・行政・研究者の協働の関係はまだ不十分であるなどの組織的な課題も存在することがわかった。カワラノギクが生育する礫河原を増やすためには河川管理そのものの見直しなどの大きな社会的問題の解決が必要である。このためには、カワラノギクプロジェクトのような市民・行政・研究者の協働による保全活動の継続的な実践が重要となる。

収録刊行物

  • 保全生態学研究

    保全生態学研究 14 (1), 101-108, 2009

    一般社団法人 日本生態学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (7)*注記

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