成人矯正治療患者の中切歯における鼓形空隙拡大の発生要因について

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タイトル別名
  • The factors of open gingival embrasure space between central incisors after orthodontic treatment in adult patients

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抄録

矯正治療後の鼓形空隙拡大はblack triangle(BT)と呼ばれており,成人患者では,特に中切歯間のBTに審美的な理由から不満を訴える場合が多い.この研究の目的は,上下顎中切歯間のBTの発生要因を,多変量ロジスティック回帰分析を用いて特定することである.資料は,矯正患者70名の治療前後の口腔内写真,歯列模型,側面頭部X線規格写真である.変数は,初診時年齢,overjet,overbite,中切歯の重なり,中切歯の垂直的移動量,歯軸変化量,歯冠形態,性別,抜歯の有無で,これらの変数とBTとの関係について調べた.多変量解析の結果,矯正治療後,上顎中切歯間に認められるBTの発生率は,年齢が高い時,歯冠の重なっている場合,歯冠が長い場合に高くなり,下顎中切歯間に認められるBTの発生率は,overbiteが小さい場合,歯冠が歯頸部でくびれた形をしている場合に高くなるということがわかった.この研究より,成人の矯正患者の治療を開始する際には,これらの要因に配慮することが重要であるということが示唆された.

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