Random amplified polymorphic DNA assayによるPrevotella intermediaバイオフィルム関連遺伝子の追究

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タイトル別名
  • Random amplified polymorphic DNA assay on genomes of biofilm-forming and non-forming Prevotella intermedia
  • Random amplified polymorphic DNA assayによるPrevotellaバイオフィルム関連遺伝子の追究
  • Random amplified polymorphic DNA assay ニ ヨル Prevotella バイオ フィルム カンレン イデンシ ノ ツイキュウ

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抄録

これまでに我々は,歯周病原細菌の1つであるPrevotella intermedia(P.intermedia)のバイオフィルム形成に伴い,いくつかのストレス応答遺伝子の転写レベルが変動することを,マイクロアレイ分析とreal-time RT-PCR法により明らかにしてきた.今回,バイオフィルムを形成する臨床分離のP.intermediaに,突然変異誘発剤であるethidium bromide(EtBr)を最大発育許容濃度で作用させ,バイオフィルム非形成変異株を作製し,そのゲノムのrandom amplified polymorphic DNA(RAPD)assayにより,バイオフィルム関連遺伝子を追究した.供試菌株にはP.intermedia strain OD 1-16を用いた.保存菌株を0.01〜1μg/mL濃度のEtBrを添加したenriched-trypticase soy brothで24時間培養後,最大発育許容濃度を示した培地を血液寒天培地に接種し,得られたコロニーを走査電顕観察することにより,バイオフィルム非形成変異株をスクリーニングした.得られた変異株のゲノムDNAを回収し,QIAGEN社のprimer kitを用いてRAPD assayを行った.変異株のRAPDパターンを,P.intermediaのtype strainであるATCC 25611ならびに親株のOD 1-16と比較することで,変異株特異的パターンを探索した.さらに,バイオフィルム非形成株において変化のあった領域をシークエンシングし,その配列を既に明らかにされているP.intermedia strain 17の全ゲノム配列と比較することで,バイオフィルム非形成株において変異のあった遺伝子の特定を試みた.今回の実験では,EtBr(0.25μg/mL)処理により1株のバイオフィルム非形成変異株を得た(strain 171).Strain 171のゲノムをRAPD assayしたところ,今回用いた20のRAPD primerのうち,A-11 primerによる増幅パターンだけが,OD 1-16,ATCC 25611と異なっていた.この領域の配列をstrain 17のゲノム配列と比較したところ,strain 171ではtrpG type glutamine amidotransferase遺伝子(PINA 0591)に変異が生じていることが明らかとなった.以上の結果より,P.intermediaのバイオフィルム形成にglutamine amidotransferaseが関与している可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 72 (2), 103-111, 2009

    大阪歯科学会

参考文献 (41)*注記

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