「境界」の脱構築と倫理 : 「ドリー以後」における人間の自己理解を中心にして(<特集>宗教と倫理)

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書誌事項

タイトル別名
  • Ethics and the Deconstruction of "Boundaries" : The Self-Understanding of Human Beings "After Dolly"(<Special Issue>Religion and Ethics)

抄録

「クローン羊ドリー」をめぐる論争が示すように、遺伝子工学を含む昨今の生命科学は、人間の自己についての理解に新たな問いを投げかけ、それによって、自己と他者の間の境界を始め、人間と自然の間の境界、さらには、人間と神の間の境界についての既存の観念は大きく揺らいでいる。特に、神による「創造の秩序」を実在理解の基本とするキリスト教世界においては、生命科学が提起する問題は極めて深刻に受けとめられている。倫理とはこうした「境界」をめぐる議論であるということを考えてみると、生命工学的試みが倫理的問いを伴うことは当然であろう。キリスト教においては、こうした倫理的問題が「神を演じる」(Paying God)という観念の下で議論される。本稿は、生命科学と倫理の関係性と、生命科学によってもたらされた新たな自己理解について論じることによって、生命科学によってもたらされる自己理解の倫理的意味について考察する。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 83 (2), 431-451, 2009

    日本宗教学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205951319552
  • NII論文ID
    110007357858
  • DOI
    10.20716/rsjars.83.2_431
  • ISSN
    21883858
    03873293
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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