硫酸アルベカシン(ABK),ポリ乳酸(PLA)含有リン酸カルシウムセメントに関する実験的研究 : ABKの徐放,ラット大腿骨のBone mineral density (BMD)及び組織像

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  • Experimental study of calcium phosphate cement containing Arbekacin Sulfate (ABK) and Poly Lactic Acid (PLA) : Slow release of ABK, and Bone mineral density (BMD) and histological observation of the femur in rats

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抄録

人工関節の再置換術例やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染例では骨萎縮,大腿骨骨皮質の菲薄化,骨欠損などが著しく,感染の鎮静化と機能の早期回復が求められる。この様な症例に対し骨欠損部の補填と感染の鎮静化に対応できるようにリン酸カルシウムセメントにポリ乳酸を担体として用いて硫酸アルベカシンを混合したインプラントを作製した(CPC95APと呼称)。in vitroではインプラントの抗菌薬放出量を測定し,in vivoでは骨粗粗症モデルラットの大腿骨に注入して骨密度の測定及び組織標本を作製した。In vivoでは,12ヶ月齢の雌SD系ラット用い,無処置(A群),Sham手術(B群),卵巣摘出術(C群)の3群に分けた。18ヶ月齢で髄腔内にCPC95APを注入した。各群とも右大腿骨のみにCPC95APを注入し,非注入側をA1, B1, C1,注入側をA2, B2, C2とした。In vitroでの徐放は,18日まで1.73μg/mlとMRSAの最小発育阻止濃度80値1.56μg/mlを越え,メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)の最小発育阻止濃度80値0.20μg/ml以上を60日間維持した。In vivoではeoxypyridinoline (DPD)値は,18ヶ月齢から22ヶ月齢までの間,A・B群とC群との間ではC群が高かった(p<0.01)。注入側Bone Mineral Density (BMD)値は,全群で1ヶ月と6ヶ月との間に有意差を認め(P<0.01),経時的に上昇した。硬組織標本では,注入側は各群とも注入後1ケ月でCPC95APと皮質骨の境界面で新生骨が密に接しており,6ヶ月でもこの良好な親和状態は維持されていた。CPC95APは抗菌薬徐放能と骨伝導能を有する生体親和性のある骨補填材料として骨粗粗症,感染例などへの臨床応用が期待される。

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