書誌事項
- タイトル別名
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- Development of New Monomer Inducing Dentin Remineralization
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抄録
近年,保存修復学分野において,ミニマルインターベンション(MI)の概念の普及とともに接着性修復材料の開発が著しく進展した.従来から,「浸透性」「接着性」や「破壊強度」に重点をおいた接着性材料の開発が進んできたが,最近ではこれらの視点に加え,フッ素化合物や抗菌性モノマー配合による抗う蝕性等の「機能性」を付与した材料の開発が進んでいる.しかし依然,一部の接着性修復材料では修復物の脱落や二次う蝕等の不快事項が発生している.これまでに,歯面処理後の脱灰象牙質コラーゲンにボンディング材が浸透しないナノスペースが存在し,経時的に露出コラーゲンおよびそれに接するボンディング材の加水分解が起こり,接着界面の崩壊が引き起こされることが報告されている.そこで,象牙質再石灰化誘導活性を有するレジンモノマーを配合した修復材料を用いてナノスペースを石灰化物で封鎖することにより,修復材料の耐久性を向上させることができると考え,新規にレジンモノマーを開発し,接着システムに導入するという着想にいたった.本研究では,象牙質再石灰化を目的として新規に開発したモノマー(カルシウム含有レジンモノマーCMETおよびCMEP)のin vitro石灰化誘導能について,モデル脱灰象牙質基質の石灰化能と比較・検討した.また,新規開発モノマーを配合した4-META/MMA-TBBレジンを試作し,微小引張り試験によって象牙質に対する接着強さの検討を行った.さらに,走査電子顕微鏡(SEM)で接着界面を観察し,新規開発モノマー配合の影響に関して検討を行った.以上の実験から,次の結果が得られた. 1.in vitro石灰化誘導実験系において,新規開発モノマーCMETがモデル脱灰象牙質基質(PV)よりすみやかにハイドロキシアパタイトを誘導した. 2.微小引張り試験において,新規開発モノマーCMETとCMEPの配合率がそれぞれ5%と10%のときに,コントロールの4-META/MMA-TBBレジンと同等の高い接着強さを示した.配合率が上昇するに従って接着強さが有意に低下した. 3.象牙質接着界面SEM観察において,30,50,70%CMET配合レジンの象牙質接着界面には多孔質な欠陥構造が認められ,さらにレジンタグの形成が不完全な像が認められた.これらの結果から,基材となる4-META/MMA-TBBレジンに石灰化誘導活性を有するカルシウム含有レジンモノマーCMETを配合しても,エッチングした脱灰象牙質の接着が可能であることが示唆された.さらに,4-META/MMA-TBBレジンに配合するCMETの至適濃度は10%であることが明らかになった.
収録刊行物
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- 日本歯科保存学雑誌
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日本歯科保存学雑誌 52 (4), 330-339, 2009
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680498190976
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- NII論文ID
- 120005429013
- 110007539253
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- NII書誌ID
- AN00191201
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- ISSN
- 18805892
- 21880808
- 03872343
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可