The Rainbow: 自立した自我を求めて

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  • The Rainbow: in quest of the independent ego
  • The Rainbow ジリツ シタ ジガ オ モトメテ

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抄録

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自伝的小説Sons and Lovers で自らの青春時代の苦悩を描ききったD. H. ロレンスは、以後、\n直面している生活上の問題をテーマにして、作品を書くようになる。Sons and Lovers 後に取り\nかかったThe Rainbow は当時の作者の生活で解決が不可欠な重要問題である、「愛」というテーマを真正面から取り上げている。\n 心の底から愛し合える女性と出会うことができたら、その女性は恩師の妻であったという困難を乗り越え、結婚する。許されざる行動を正当化しようと、愛の勝利と賛歌を歌い上げるために書いた小説が本作品である。\n これは親子3代に亘る、愛の姿を描いている。いずれの代も未知の世界に憧れ、それを手に入れようと努力している。最初の代の愛と結婚は、未だ自我が充分に目覚めきっていない、古き良き時代の牧歌的環境の中で描かれ、男女間で深刻な自我の闘争は生じていない。しかし、2代目の愛は壮絶な自我の闘争を引き起こす。互いに自我を主張し合い、譲ることが少ない。妻が子供を身籠もり、女性の根源的な力を誇示することによって、夫を服従させて行く。この2つの愛と結婚は一般にありがちな姿であり、さして珍しいものとは言えない。\n しかし、3代目の愛の闘争になると様相は一変する。主人公Ursula は理想の男女の愛を恋人 Skrebensky に求める。強烈な自我を持つ彼女は、従来の因習的な結婚を否定し、自立した自我\nの均衡の上に築かれた愛を求めて、彼と激しい闘争を繰り返す。どんな逆境にあっても妥協しない。最後には、心身共に傷付いた上に、求める愛を得られなかったが、再生した彼女が明日への希望を虹に見て、新たに前進して行くことが示される。\n 本稿では、3代の夫婦における理想の愛の探求の形を分析し、現実と理想の愛の落差に対する彼らの対応の姿を明らかにしたい。

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