気管支擦過細胞診により虫卵を証明したウエステルマン肺吸虫症の1例

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タイトル別名
  • Paragonimiasis Westermanni as Diagnosed by Detecting Parasitic Ova in Bronchial Brushing Specimens: A Case Report

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抄録

症例.68歳,女性.主訴は咳嗽,血痰.3ヵ月前から咳嗽および血痰があり近医を受診.胸部X線上の左中肺野結節影を指摘され,精査目的に当院を紹介された.身体所見に異常はなく胸部CTで左肺下葉S^6に結節影を認めた.肺結核や肺癌などが疑われたが喀痰および血液検査では明らかな異常所見はなく,確定診断のため気管支鏡検査を実施した.病変部の粘膜は浮腫状で左B^6入口部は狭窄していた.左B^6からの擦過標本に肺吸虫虫卵を検出,血清ウエステルマン肺吸虫抗体価の高値を認め診断に至った.プラジカンテルを投与し,症状は消失,画像上の異常陰影も退縮,抗体価の低下を確認した.本症例は加熱調理された川カニの食歴を有していた.結論.同症は稀な疾患であるが特異的な所見に乏しく,鑑別に苦慮する場合は気管支鏡および血清学的検査を積極的に行うべきである.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 32 (2), 191-194, 2010

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (12)*注記

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