高齢者の歩行において重力の利用を低下させる原因

  • 小宅 一彰
    山形県立保健医療大学大学院 保健医療学研究科理学療法学分野(現所属:東京湾岸リハビリテーション病院 リハビリテーション部)
  • 三和 真人
    山形県立保健医療大学 保健医療学部理学療法学科(現所属:千葉県立保健医療大学 健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)

書誌事項

タイトル別名
  • Causes Decreasing Gravity Use in Elderly Walking

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抄録

【目的】歩行中の重心運動を力学的エネルギーで捉え,位置エネルギーと運動エネルギーの交換率(%Recovery: %R)として歩行における重力の利用率を評価できる。本研究の目的は,%Rを用いて若年者と高齢者の歩行特性を検討し,両者の%Rに相違をもたらす原因を解明することである。【方法】対象者は,歩行が自立している高齢者(高齢群)と健常若年者(若年群)各20名であり,三次元動作解析装置で快適歩行の立脚相を測定した。測定項目は時間距離因子(歩行速度,重心移動幅,両脚支持期,歩行率,ステップ長,歩隔),関節運動および筋力がなす仕事量(股関節,膝関節,足関節),%Rである。%Rは力学的エネルギーの増加量より算出した。【結果】高齢群の%Rは若年群より有意に低値であった。高齢群において,立脚相初期における膝関節屈曲角度と遠心性膝関節伸展仕事量が%Rの増加に寄与し,いずれの変数も高齢群は若年群より低値であった。【結論】高齢者の歩行は若年者に比べ重力の利用が乏しく,その主要な原因は立脚相初期における膝関節屈曲運動の減少であることが示された。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 37 (2), 70-77, 2010-04-20

    日本理学療法士学会

参考文献 (18)*注記

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