腎癌の手術における同側副腎摘除の意義

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  • THE SIGNIFICANCE OF IPSILATERAL ADRENALECTOMY AT SURGERY FOR RENAL CELL CARCINOMA
  • ジンガン ノ シュジュツ ニ オケル ドウソク フクジンテキジョ ノ イギ

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抄録

(目的) 腎癌における同側副腎または浸潤(IADI)の頻度を示し,腎摘除における同側副腎摘除の意義について検討した.<br> (対象と方法) 1981年から2007年までに病理学的に腎癌と診断された588例のうち,評価可能な426例を対象とした.腎癌に対する手術施行時に同側副腎を摘除した193例(AD群)と温存した233例(AS群)とを比較検討した.<br> (結果) AD群のうち5例(2.6%)に(IADI)を認め,全例においてT4またはM1を呈していた.原発巣と副腎病変の連続性から,5例のうち3例が直接浸潤,2例が転移と考えられた.IADI陽性例では全例で術後腎癌の進行がみられ,4例は癌死した.インターフェロン療法が奏効した1例のみ肺転移ありで31カ月生存している.対象のうち8例(1.8%)で術前CTにより同側副腎の異常が指摘され,そのうち4例でIADIを認めた.IADI陽性の5例中1例ではCTで病変を指摘されなかった.したがって,自験例におけるIADI診断に対するCTの精度は,感度80%,特異度98%,陰性適中率99%,陽性適中率50%であった.AS群における18例(7.7%)で術後リンパ節もしくは遠隔転移を認めたが,同側副腎の孤発性再発は1例も認めなかった.<br> (結論) 腎癌による同側副腎浸潤または転移はまれであり,特に副腎温存術式施行後の同側孤発性転移の頻度は非常に低い,また,同側副腎浸潤または転移例の予後が極めて不良なことから,同側副腎摘除の治療的意義は限定的であることが示唆される.<br>

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