ディスカリスタカネフタオシジミ(インドネシア)の研究(1) A study of Tajuria discalis Fruhstorfer, 1897 (Lepidoptera, Lycaenidae) from Indonesia (1)

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抄録

Taiuria discalis(ディスカリスタカネフタオシジミ,タカネフタオシジミ属,シジミチョウ科)の原名亜種の再記載と中央バリ,東ジャワに生息する個体群をそれぞれ,新亜種T.d.centralis,T.d.triangularisとして記載し,生態的知見の報告,ならびに系統関係の推定に関する若干の議論を行った.T.d.centralisは,雄は前翅表面の外縁黒帯が細く(第5脈の1/2程度),一方原名亜種は幅広いこと(第5脈の2/3程度),雌は両翅表面基部の淡青色が原名亜種では灰色であること,後翅表面の外縁黒帯が細く(第2脈の0.3-0.4程度),一方原名亜種は幅広いこと(第2脈の0.4-0.6程度)などから識別できる.T.d.triangularisは,雄は前翅表面中央部の黒班が小さくなること,同外縁黒帯がさらに細く(第5脈の1/3程度)なること,雌は両翅表面基部の淡青色が原名亜種では灰色であること,後翅表面の外縁黒帯がさらに細く(第2脈の0.2-0.3程度)などから識別できる.また,T.d.centralisは,800m以上の山地の林内および林縁で観察された.10:00-14:00に,広葉樹の周辺で飛翔と葉上での静止を繰り返すテリトリー行動が観察された.T.discalisとT.igolotianaの類似性については最初,高波(1983)が指摘した.筆者等は,交尾器を含む形質状態を,他のTaiuria属を含む種々のシジミチョウと比較検討した結果,T.igolotianaがT.discalisと単系統群を構成する最も近縁な種であることを見出した.これらの種が,スンダランドから移動してきた氷河期の遺存種であるなら,その近縁種がボルネオなどの山岳地帯に生息する可能性が考えられる.さらに鱗翅目,特にチョウに限ってみても,多くの研究者がスラウェシとミンダナオの生物地理学的な関連性を指摘している.T.discalisがジャワ-小スンダ列島に,その近縁種igolotianaがフィリピンに生息することから,分布の空白地帯であるスラウェシにこれらと単系統群を構成する未知種,あるいはこれらの種のいずれかが発見されることも予測される.

Tajuria discalis discalis Fruhstorfer, 1897 is redescribed and T.d. centralis ssp. nov. from central Bali and T.d. triangularis ssp. nov. from east Jawa are described with short biological notes. Some apomorphic characters for T. discalis and its sister species, and their biogeographical relationships are discussed.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 47(2), 83-92, 1996

    日本鱗翅学会

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110007630734
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00147618
  • 本文言語コード
    ENG
  • 資料種別
    ART
  • ISSN
    0024-0974
  • NDL 記事登録ID
    3986909
  • NDL 雑誌分類
    ZR4(科学技術--生物学--動物)
  • NDL 請求記号
    Z18-73
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  NII-ELS  J-STAGE 
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