いわゆるEuthalia(Euthalia)agnis(Snellen van Vollenhoven,1862)(Rhopalocera,Nymphalidae)は2種に分けるのが適当である Euthalia agnis (Snellen van Vollenhoven) and Euthalia tinna Fruhstorfer (Rhopalocera, Nymphalidae), two distinct species

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Abstract

<p>はじめに塚田(1991)によれば,Euthalia agnisはマレー半島,ボルネオ,スマトラ,ジャワ各地から記録され,いずれの産地でもかなりの稀少種である.最近ボルネオ産亜種tinnaに類似した型(以下,tinna型とする)の♂個体が北部,西部スマトラから複数得られたが,これらは従来スマトラより知られる亜種modestaとは全く異なるものであった.また筆者の1人,横地は南タイ産のtinna型の♂個体と,ジャワ産agnisに類似する型(以下,agnis型とする)のマレーシア・キャメロンハイランド産♂個体を所蔵している.つまりスマトラ,マレー半島ではtinna型とagnis型が混棲していることになる.本編ではagnis型とtinna型を便宜的にagnis群(complex)と呼び,パリ国立自然史博物館(昆虫部門)(MNHN),ライデン博物館(RMNH),ロンドン大英博物館(自然史)(BMNH),シンガポール国立大学動物学教室(NUS)におけるタイプシリーズの調査に基づいて本群の分類を再検討した.Agnis群の分類の変遷現在までに記載された本群は次の6タクサである(T.L.:基産地).agniformis Fruhstorfer,1906(T.L.:Deli,Sumatra)agnis Snellen van Vollenhoven,1862(T.L.:Java)canens Tsukada,1991(T.L.:Mt Dempo,S.Sumatra)modesta Fruhstorfer,1906(T.L.:Battak Mts,Sumatra)paupera Fruhstorfer,1906(T.L.:the Malay peninsula)tinna Fruhstorfer,1906(T.L.:Kinabalu,N.Borneo)以下に本群がどのような分類学上の位置で扱われてきたかを年代順に示す(シノニムリストも参照).1.Snellen van Vollenhoven(1862)Adolias agnis Snellen van Vollenhoven,1862 Snellen van Vollenhoven(1862)は,本群のタクソンとして初めて西ジャワからagnisを記載した.原記載では♀が図示されているが,タイプシリーズの個体数は不明である.これ(ら)はRMNHに保管されており,筆者らは確認している.レクトタイプの指定は行われていない.2.Fruhstorfer(1906)Fruhstorfer(1906)はtinnaとその2亜種およびagnisの1亜種の4タクサを記載した.1)Euthalia tinna Fruhstorfer,1906北ボルネオのキナバル山を基産地として2♂1♀で記載された.原記載では♂♀が図示されている.タイプシリーズはMNHNに保管されており,このうち1♂をレクトタイプとして本編で指定した(図13-14).2)Euthalia tinna agniformis Fruhstorfer,1906北スマトラのデリを基産地として3♂1♀で記載された.原記載では♀が図示されている(tinna型).タイプシリーズのうち1♀のみがMNHNに保管されている.しかし,残り3♂の個体は所在不明である.レクトタイプを♀として,その指定を本編でおこなった(図21-22).3)Euthalia tinna paupera Fruhstorfer,1906マレー半島を基産地として1♂で記載されたが,原記載に図示はない.ホロタイプはシンガポール博物館保管と記されている(同館の標本は1957年に全てNUSへ移管された)が,発見できない.またBMNH,MNHNへの移管も考えられたが確認できない(追跡不能).4)Euthalia agnis modesta Fruhstorfer,1906 agniformisと同一基産地である北スマトラのバタック山脈から3♀で記載されたが,原記載に図示はない.タイプシリーズはMNHNに保管されており,agnis型である.1♀をレクトタイプとして,その指定を本編でおこなった(図7-8).3.Fruhstorfer(1913)Euthalia agnis(Snellen van Vollenhoven,1862)ssp.agnis(W.Java)ssp.modesta(N.Sumatra)Euthalia tinna Fruhstorfer,1906 ssp.tinna(N.Borneo)ssp.agniformis(N.Sumatra)ssp.paupera(the Malay peninsula)Fruhstorfer(1913)はザイツ第9巻でもこのように本群を2種として扱った.両種はスマトラで混棲しているとの見解である.またここで初めて1906年に記載したagniformisの♂個体を図示している(pl.129,row b).4.Corbet(1941)Euthalia agnis:Corbet,1941 Corbet(1941)はジャワ産agnisとボルネオ産tinnaにつき比較し,両者を同一種と考えた.5.Corbet(1945)Euthalia agnis modesta:Corbet,1945 Corbet(1945)はスマトラ産modestaをagnisの亜種として示した.標本の図示はないが♂ゲニタリアを示している.6.Fleming(1975,1983)Euthalia agnis paupera:Fleming,1975 Euthalia agnis paupera:Fleming,1983 Fleming(1975,1983)はマレー半島産pauperaをagnisの亜種として示した.♂♀が図示されているが,♂はtinna型,♀はagnis型である.7.D'Abrera(1985)Euthalia agnis paupera:D'Abrera,1985 Euthalia agnis tinna:D'Abrera,1985 Euthalia agniformis:D'Abrera,1985 D'Abrera(1985)はpauperaとtinnaをagnisの亜種とした.またagniformisを独立種として記述したが,その扱いに確証を持っていない.tinnaはagnis(あるいはEuthalia merta)と同一種ではないかと考えたためである.8.大塚(1988)Euthalia agnis modesta:Ostuka,1988大塚(1988)はボルネオ産をagnisとし,亜種名にmodestaを充てた.しかしmodestaは北スマトラを基産地としており,tinnaをmodestaのシノニムとする記述もないことから,本来はtinnaとすべきである.♂♀の個体が図示されている(tinna型).9.塚田(1991)Euthalia agnis(Snellen van Vollenhoven,1862)ssp.agnis(Java)ssp.modesta(N.Sumatra)ssp.canens(S.Sumatra)ssp.paupga(W.Malaysia)ssp. tinna(Borneo)Euthan aconthea(Cramer,1777)ssp.purana(Sumatra)=agniformis塚田(1991)は,tinnaをagnisのボルネオ亜種とし,agniformisをEuthalia acontheaのスマトラ亜種puranaのシノニムとして扱った.Fruhstorfer(1913)によるSeitz,vol.9,pl.129,row bに図示されたagniformis♂がEuthalia acontheaと考えられるためである.塚田(1991)におけるpl.110,fig.1の♂はtinna型で,figs 2,3の♀はagnis型である.また南スマトラ産に新亜種名canensを与えた.10.Eliot(1992)Euthalia agnis paupera:Eliot,1992 Eliot(1992)はマレー産をpauperaとして記し,1♂1♀を図示した.このうち1♀はagnis型であるが,1♂は(やや写真の鮮明さに欠けるものの)tinna型と思われる.考案以上の変遷をみると,Fruhstorfer(1906,1913)はagnis群を種tinnaと種agnisの2種としたが,その後Corbet(1941)がagnisの1種として以来,この分類が一般的となっている.しかし今回までに筆者らが入手した標本,資料に基づき検討を加えたところ,本群はFruhstorfer(1906,1913)の分類に準じて2種に分けるのが以下のような理由から適当と考えられる.1)北部,西部スマトラよりtinna型♂の再発見従来より得られていたスマトラ産の個体はagniformisのタイプ標本を除いて全てagnis型(亜種modestaとされる)であった.この例外のagniformisの♀タイプ標本はtinna型(♂タイプ標本は不明)であり,Fruhstorferが1906年にスマトラより記載したものである.しかしその後agniformisの分類学的位置は曖昧のままとされてきた.今回筆者らはタイプの調査を行うとともに,agniformisに</p><p>(View PDF for the rest of the abstract.)</p>

Since Corbet (1941) showed the classification of Euthalia agnis (Snellen van Vollenhoven, 1862) (type locality: Java) and its related taxa, agnis and tinna Fruhstorfer, 1906 have been treated as a single species. Because the characteristics of the specimens from the Malay peninsula and Sumatra which we recently obtained are different from those of the Javanese specimens, the agnis complex should be treated as two species, E. agnis and E. tinna, as shown by Fruhstorfer (1906, 1913).

Journal

  • Lepidoptera Science

    Lepidoptera Science 50(1), 17-34, 1999

    THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN

References:  21

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    110007630829
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN00147618
  • Text Lang
    ENG
  • Article Type
    ART
  • ISSN
    0024-0974
  • NDL Article ID
    3087676
  • NDL Source Classification
    ZR4(科学技術--生物学--動物)
  • NDL Call No.
    Z18-73
  • Data Source
    CJP  NDL  NII-ELS  J-STAGE 
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