ベトナム産Osminiini族(鱗翅目,スカシバガ科)の新知見

  • 有田 豊
    Zoological Laboratory, Faculty of Agriculture, Meijo University
  • GORBUNOV Oleg G.
    Institute for Problems of Ecology and Evolution, Russian Academy of Sciences

書誌事項

タイトル別名
  • Notes on the tribe Osminiini (Lepidoptera, Sesiidae) from Vietnam, with descriptions of new taxa

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抄録

北ベトナムで得られたスカシバガ科のOsminiini族の6種を報告した.Vietomelittia Gorbunov,1988属VietomelittiaはArita&Gorbunovによって1995年にHeterosphecia Le Cerf,1916のシノニムとされたが,多くの標本による再調査の結果,ここで有効名として再度復活させた.Vietomelittia soljanikovi Gorbunov,1988(Figs 1-2,9,12a-d)Vietomelittia属のタイプ種でベトナムからのみ知られている.色彩変異は知られていない.成虫は合成性フェロモンに飛来するが成分は特定されていない.Vietomelittia bantanakai sp.nov.(Figs 3-4,13a-d)前種に非常によく似ている.本種は図示(Fig.4)したように胸部側面に大きな橙黄色の紋があるが,前種(Fig.2)ではそのような紋を欠く.本種も合成性フェロモンに良く飛来するが成分は特定されていない.Aschistophleps Hampson,1893後脚〓節が非常に長い特異なスカシバガのグループである.アッサムから記載されたA.lampropoda Hampson,1893の他に,ベトナムから次の新種を含めて2種類が知られている.Aschistophleps longipoda sp.nov.(Figs 5,10,14a-d)アッサムから記載されたA.lampropodaに非常によく似ているが,前翅横脈紋がより大きいことで区別される.Pyrophleps gen.nov.この新属は前属のAschistophleps属によく似るが,後脚脛節の背面後半分と〓節基部2節の背面に長い毛状鱗片を欠くことで区別される.また雄ゲニタリアも異なる.ここで新しく記載した3新種のほかに,P.ruficrista(Rothschild,1912),comb.nov.,P.haematochrodes(Le Cerf,1912),comb.nov.およびP.cruentata(Swinhoe,1896),comb.nov.の3既知種をふくめて6種類が知られている.Pyrophleps nigripennis sp.nov.(Figs 8,11,16a-d)次種P.vitripennis sp.nov.に極めてよく似ているが,前翅の中室外方透明紋が極めて小さく,前翅の黒色部分が大きい.北ベトナムのクックホン自然国立公園では個体数が多く,成分は特定されていないが,合成性フェロモンに極めて多数が飛来した.Pyrophleps vitripennis sp.nov.(Figs.7,15a-d)本種は酷似する前種P.nigripennisと同所で採集されているが,個体数ははるかに少ない.本種は,前種P.nigripennisの個体変異と考えられたが,雄ゲニタリアも全く異なることから別種と判断した.Pyrophleps cucphuonganae sp.nov.(Figs 6,17a-d)本種はベトナム(トンキン)から記載されたP.haematochrodes(Le Cerf,1912)やインド(カシス)から記載されたP.cruentata (Swinhoe,1896)によく似ている.P.haematochrodesからは前後翅の中室紋が大きいことで容易に区別される.またP.cruentataからは前後翅の中室紋が赤くならないことで区別される.本種はクックホン自然国立公園で1雄得られたのみである.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 51 (1), 49-74, 2000

    日本鱗翅学会

参考文献 (11)*注記

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