ラオス北部およびベトナム北部より記録されたイナズマチョウ属の2新種の記載 Two new species of Euthalia (Lepidoptera, Nymphalidae) from northern Laos and northern Vietnam

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Abstract

ラオス北部およびベトナム北部より発見された大陸系イナズマチョウ属の2新種を記載し,併せて近縁種との比較・検討を行った.Euthalia(Limbusa)khambounei sp.nov.(図1-4)♂.前翅長45-46mm蝕翅形:前翅,前縁は滑らかに湾曲し,翅頂は尖る;外縁は第4脈付近でわずかに抉れ,各翅脈端はやや突出する;後縁は直線状.後翅,前翅同様外縁は各翅脈端でやや突出する.表面:前翅,地色は暗緑色だが外半部は淡色を帯びる;基部付近の本属特有の環状斑群は明瞭;外中央白紋列は第2室から第6室におよび,第2室は後縁角の方向に尖る;前縁には白色鱗が侵入しない;亜翅端部は第6室と第8室に白色紋がある;亜外縁部は第1b室から前縁部にかけて黒色帯があり,第4室付近が太い;縁毛は白色で翅脈端は黒色.後翅,地色は前翅と同様だが,前縁部の第5室から第7室は青色を帯びる;中室端の黒色だ円形紋は不明瞭;外中央白紋列は第6室と第7室にとどまる;亜外縁部は第1b室から第7室にかけて濃紺色帯がある;縁毛は前翅同様白色で翅脈端は黒色.裏面:前後翅の地色は淡緑青色.前翅;亜外縁部は第1a室から前縁部にかけて黒色帯があり,第1b室が太い.後翅,基部の不正形環状斑は明瞭;外中央白紋列の内側は第5室から第7室にかけて黒条があり白紋の内側を縁どる;亜外縁部は第1b室より第7室まで黒色帯がある.翅脈:後翅中室端は開く.触角:表面は黒色;裏面黒褐色;先端に黄褐色部はない.♂ゲニタリア(図15):先端方向に一様に先細る;valvaは細長く,中央部がやや太く,先端部分は棘がある.♀.前翅長48-49mm,♂に同形.斑紋:♂に同形だが,前翅外中央白紋は♂より大きく,後翅表面亜外縁部黒色帯はやや不明瞭.分布:ラオス北部,ベトナム北部.近縁種との比較:類似するものはなく,容易に鑑別できる.Euthalia(Limbusa)suprema sp.nov.(図5-8)♂.前翅長40mm,翅形:前翅,前縁は滑らかに湾曲し,翅頂は尖る;外縁は第4脈付近でわずかに抉れ,各翅脈端はやや突出する;後縁は直線状.後翅,前翅同様外縁は各翅脈端でやや突出する.表面:前翅,地色は淡灰緑色;基部付近の本属特有の環状斑群は明瞭;外中央白紋列は淡黄色で第1b室から第6室におよび,第1b室は痕跡的で,第2室から第6室までの紋は大きく十分重なり,第3室と第4室の外側に黒色のくさび形の縁取りがある;前縁には淡黄鱗が侵入する;亜翅端部は第6室と第8室に淡黄色紋がある;亜外縁部は第1b室に暗緑色部があり,第2室から第6室まで暗緑色のくさび形紋列がある;外縁部は淡灰緑色.後翅,地色は前翅と同様;中室端の黒色だ円形紋は明瞭;淡黄色の外中央紋列は第2室から第7室におよび,第2室から第4室の紋は痕跡的で,第5室は外縁側が尖る.各紋の外側は暗緑色のくさび形縁取りがある;亜外縁部は第1b室から第7室にかけて暗緑色帯がある;外縁は淡灰緑色.裏面:前後翅の地色は淡緑青色.後翅,基部の不正形環状斑は明瞭.翅脈:後翅中室端は開く.触角:表面は黒色;裏面は軸部とこん棒部先端が褐色で,先端部を除くこん棒部は黒色.♂ゲニタリア(図16):Uncusは先端方向に一様に先細る;valvaはやや細長く,中央部がやや太く,先端部分は棘がある.Adeagusは細長い.♀.前翅長48-51mm.♂に同形だが後翅第3室端付近がやや突出する.表面:前翅,地色は暗緑色;基部付近の本属特有の環状斑群は明瞭;外中央紋列は白色で第2室から第6室におよび,第3室から第6室までは連続するが,第2室は第3室と離れる;前縁には白色鱗が侵入する;亜翅端部は第6室と第8室に白色紋がある;外縁部は淡灰緑色;縁毛は白色で翅脈端は黒色.後翅,地色は前翅と同様;中室端の黒色だ円形紋は明瞭;外中央部は第6室に白紋がある;亜外縁部は第1b室から第7室にかけて不明瞭な黒色紋列がある;縁毛は前翅同様白色で翅脈端は黒色.裏面:前後翅の地色は淡緑青色.前翅;亜外縁部第1b室に黒色部がある.後翅,基部の不正形環状斑は明瞭;外中央部は第2室から第4室と第6室第7室に白紋があるが,第3室第4室以外は痕跡的;亜外縁部は第1b室より第7室まで不明瞭な暗緑色のくさび形紋がある.翅脈:♂と同様.触角:♂と同様.分布:ラオス北部.近縁種との比較:本種の♂は,1907年にOberthurが♂をタイプとして中国四川省から記載した"Euthalia leechi"(図9,10)と類似している.ただしこのleechiは,1892年Leechが♀で記載したpyrrha(図11,12)のシノニムとするのが妥当である.Euthalia(Limbusa)pyrrha Leech,1892E.pyrrhaは本新種と同じくラオス北部からも記録されており(図13,14),両種の鑑別点を以下に示す.♂.翅形:両種ともほぼ類似するが,pyrrhaは後翅各脈端の突出が強い.斑紋:前翅外中央白紋列は本種のほうが大きくなり,第3,4室の白紋外側のくさび形の縁どりは明瞭でない.後翅第5室の白紋は両種とも外縁側に尖るが,本種ではその外縁側の黒色くさび紋,白色くさび紋がより明瞭となる.触角:表面は黒色,裏面は一様に褐色である.♂ゲニタリア(図17):Valva先端の棘はほぼ同一だが,pyrrhaではventral lobeの張り出しが強い;uncusはpyrrhaのほうがより短く,太い.♀.ラオス北部からpyrrhaの♀はまだ記録がないため,既知の産地(中国四川省,福建省)のものと比較する.翅形:♂と同様に,pyrrhaでは後翅各脈端の突出が強い.斑紋:両種の基本的な斑紋構成は類似するが,前翅第3室の白紋は本種では外側に尖るのに対して,pyrrhaではほぼ正方形となる.触角:♂と同様.

Two new nymphalids, Euthalia khambounei sp. n. and Euthalia suprema sp. n., are described from northern Laos and northern Vietnam.

Journal

  • Lepidoptera Science

    Lepidoptera Science 52(4), 237-244, 2001

    THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN

References:  2

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    110007630935
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN00147618
  • Text Lang
    ENG
  • Article Type
    ART
  • ISSN
    0024-0974
  • NDL Article ID
    5928338
  • NDL Source Classification
    ZR4(科学技術--生物学--動物)
  • NDL Call No.
    Z18-73
  • Data Source
    CJP  NDL  NII-ELS  J-STAGE 
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