患者の治療満足度からみた喘息診療の実態

  • 大田 健
    帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学
  • 美濃口 健治
    すみれが丘クリニック:ファミリークリニックハーモニー
  • 喜井 勝功
    アストラゼネカ株式会社メディカル統括部メディカルアフェアーズ部

書誌事項

タイトル別名
  • A CLINICAL SURVEY TO UNDERSTAND REAL ASTHMA LIFE FOR PATIENTS-I
  • カンジャ ノ チリョウ マンゾクド カラ ミタ ゼンソク シンリョウ ノ ジッタイ

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抄録

【背景】我が国における喘息治療の実態調査は報告されているが,喘息診療内容の実状,患者の満足度に寄与する喘息医療の要因および不定期受診の原因について,患者サイドから検討した報告は少ない.【方法】1200名の成人喘息患者を対象に,平成21年3月25日から31日にインターネットを利用して調査を施行した.患者の満足度を0点(非常に不満足)から10点(非常に満足)までスコア化し,点数から満足群(8-10点),ほぼ満足群(4-7点),不満足群(0-3点)の3群に分けた.医師から喘息の病態,喘息治療の目標,喘息治療内容に対する説明についての有無を調査した.また,服薬アドヒアランスや不定期受診に影響を与える要因についても検討した.【結果】喘息の重症度は34.8%が軽症,19.2%が中等症,7.8%が重症であった.今回の調査では治療を受けている患者の81.6%の患者が吸入ステロイド薬または吸入ステロイド薬と長時間作用性β_2刺激薬の配合剤を使用していた.患者の喘息治療に対する満足度は平均6.83点で,満足群43.2%,ほぼ満足群は48.9%,不満足群は7.9%であった.不満足群の患者は満足群と比較して,医師から喘息の病態,喘息治療の目標,喘息治療内容に対する説明が少ないと回答した.満足群の患者ほど,服薬アドヒアランスがよく不定期受診が少なかった.【結語】本研究はインターネットを利用した特定の患者集団を対象にしているため,日本の喘息診療を全て反映したものではないが,喘息診療に関する医師から患者への十分な説明により,患者の満足度や服薬アドヒアランスが向上し,喘息治療の質の向上に繋がる可能性が示唆された.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 59 (6), 676-687, 2010

    一般社団法人 日本アレルギー学会

参考文献 (11)*注記

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