南インドにおける不幸の除去 : ケーララ州の呪術・儀礼・占星術をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • The Removal of Misfortune in South India : Magic, Ritual, and Astrology in Kerala
  • ミナミインド ニ オケル フコウ ノ ジョキョ ケーララシュウ ノ ジュジュツ ギレイ センセイジュツ オ メグッテ

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抄録

不幸の説明原理として用いられる概念や技法には、地域や時代により特色が見られる。アフリカでは妖術・邪術、死霊・悪霊などが多く見られ、特に妖術や邪術の場合は、日常の葛藤や対立関係が顕在化する。インドでは「カルマ」(業)理論が浸透しているのが特色である。南インド・ケーララ州北部では、不幸は「ドーシャム」(障り)によると考え、占星術師を訪れて、その解決法を求める。個人的な問題の場合は呪術(マントラワーダム)を、タラワードやコミュニティに関わる問題の場合は、神霊に捧げる儀礼「テイヤム」を行うように指示される。呪術、儀礼、占星術の担い手はカーストによる世襲であり、霊的なるものに関わる職能者はお互いを正当化し、依存関係にある。人々は不幸の原因を、実際の葛藤ではなく、神の怒りや悪霊などに転嫁し、儀礼の中で霊的な力(シャクティ)を様々な力で操作することにより、間接的な解決を図っているといえる。

収録刊行物

  • 宗教と社会

    宗教と社会 7 (0), 91-110, 2001

    「宗教と社会」学会

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