常染色体優性遺伝性多発性嚢胞腎合併胃癌の1例

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  • A Case of Gastric Cancer with Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease

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抄録

症例は50歳の男性で,35歳時,常染色体優性遺伝性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease;以下,ADPKDと略記)と診断され,48歳より高血圧と全身湿疹の症状が出現し加療されていた.家族歴は父が死亡(慢性腎不全あるも詳細不明).今回,腹痛で受診し,上部消化管造影および内視鏡検査でスキルス胃癌と診断し,胃全摘出術を施行した.最終診断は印環細胞癌を含む低分化腺癌,UML,4型,pT3(SE),pN0,sH0,pP1,pCY1,sM0,stageIVであった.術後12日目に退院し,化学療法を施行しつつ,術後1年3か月生存中である.ADPKDと腫瘍の関連はin vitroで,原因遺伝子産物であるpolycystin-1とpolycystin-2の影響が報告されているが,臨床的には賛否両論で,胃癌に関しての報告はない.今回,日本病理剖検輯報(2002年~2006年の5年間)による剖検例で検討すると,胃癌に関しては非分化型が多かったが,関連は不明であった.

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