5年の無再発が得られた小型肉腫様肝癌の1切除例

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  • A Report of a Small Sarcomatous Hepatocellular Carcinoma

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抄録

症例は68歳の女性で,C型慢性肝炎の経過観察中に腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘された.US上腫瘍は肝S7に,辺縁に高エコー帯を伴う17 mm大の境界明瞭な低エコー結節として描出された.内部には5 mm大の無エコー域を伴っていた.造影CTで病変はドーナッツ状にenhanceされ,門脈相では低吸収域を示した.術前の大腸内視鏡検査で小さなS状結腸癌が発見されたが,画像は肝細胞癌・転移性肝癌のいずれにも典型的ではなく,鑑別診断に腐心した.切除の結果,腫瘍は中心部に壊死を伴う,境界明瞭な白色調の結節で,組織学的には紡錘型細胞により構成され,肉腫様肝細胞癌と判定した.腫瘍は薄い被膜を伴い,高分化型肝細胞癌が辺縁を輪状に取り囲んでいた.本例はTAEなどの前治療もなく,臨床症状を欠き,肉腫様肝癌としては極めて小さい.肉腫様肝癌の自然史を考えるうえで示唆に富む症例と考えられたので報告を行った.

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