FRPフェンスを用いたアサリの波による散逸防止

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  • Protection of Asari Ruditapes philippinarum from Dispersion Due to Wave Action Using FRP Fence
  • FRP フェンス オ モチイタ アサリ ノ ナミ ニ ヨル サンイツ ボウシ

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抄録

1.FRPフェンスを用いて,波によるアサリの散逸を防止する試験を東京湾の盤洲干潟で2005年度から2007年度の間の冬季に行った。2.盤洲干潟の既往知見では,シールズ数が0.2を超えると殻長26〜28mmのアサリは移動し始めるが,台風などによる特別に強い風による波の例を除いて,通常の冬季の北西風によって干潟に入射する波の場合は波高を20%程度減衰させれば,シールズ数は0.2以下になることがわかっているので,フェンスによる波高減衰率が20%になることを試験の目安とした。3.高さ0.57m,長さ2.0m,遮蔽率50%のFRPフェンス42枚を4列千鳥型に配置した。1列分は10枚または11枚のフェンスを用いて各々2m離して設置した。フェンスの下部と海底面との間は1m離した。4.1年目の試験のフェンス背後の波高減衰率は11%だったが,2年目の試験ではフェンスにベニヤ板を取り付けてフェンス面の遮蔽率を100%にしたことおよび岸側2列のフェンス面の高さを0.57mから0.9mにしたことによって,波高減衰率が19%に上昇した。5.方向分散エネルギー平衡方程式を用いて,フェンスがないケースとフェンスによる波高減衰率20%のケースについて計算すると,フェンスがある場合は10%程度波高が減衰する範囲がフェンスの背後30〜40m付近まで拡がった。6.波高減衰率10%以上の範囲の調査点と10%以下の範囲の調査点に区分し,両範囲の2006年11月から2007年3月までの間のアサリの定位率の平均値を求めると,波高減衰率10%以上の範囲では70.7%であったのに対して10%以下の範囲では25.4%であり,フェンスによるアサリの散逸防止効果が認められた。また,小型のアサリほど定位率の低い傾向がみられた。

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参考文献 (13)*注記

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