中国地方におけるヒメシジミの分布

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タイトル別名
  • A note on the distribution of Plebejus argus BUTLER in the Chugoku district, Southwest of Japan (Lycaenidae)

抄録

1. 中国地方のヒメシジミの食草はマアザミであるが,ヒメシジミの分布を規定している要因はマアザミの分布だけではない. 2. マアザミの分布している湿原は中国地方では,かなり低地にもみられるが,ヒメシジミがみられる湿原は中国山地内にみられるヌマガヤ・マアザミ群集として知られている湿原植生の分布とほぼ一致し,ヒメシジミの分布はこの湿原植生と密接な関係がある. 3. 兵庫県下にヒメシジミが分布しないのは自然的諸条件によってヌマガヤ・マアザミ群集のみられる湿原が成立し得なかったためと考える. 4. 中国地方のヒメシジミは朝鮮半島を経由して日本列島へ分布を拡大してきた系統で,後氷期の温暖化で退行途中のものと思われる.また,北海道から本州中部の高地帯に分布する別亜種pseudoaegonはアムール,樺太を経由して南下した系統と考えられる. 5. ヒメシジミの日本列島への侵入期はリス氷期〜ヴェルム氷期の間でくりかえし分布を拡大したものと推定される.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 22 (3-4), 100-105, 1971

    日本鱗翅学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680241652864
  • NII論文ID
    110007707064
  • DOI
    10.18984/lepid.22.3-4_100
  • ISSN
    18808077
    00240974
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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