スラウェシ区のアマミウラナミシジミ属とその近縁属(鱗翅目,シジミチョウ科)について

書誌事項

タイトル別名
  • On Nacaduba and Allied Genera (Lepidoptera, Lycaenidae) from the Sulawesi Region
  • スラウェシ区のアマミウラナミシジミ属とその近縁属(鱗翅目,シジミチョウ科)について〔英文〕
  • スラウェシク ノ アマミウラナミシジミゾク ト ソノ キンエンゾク リンシモク

この論文をさがす

抄録

筆者は1985年に行われたProject Wallaceに参加し,アマミウラナミシジミ(Nacaduba)属の未記載種と思われる個体を複数得たのでNacaduba angelae sp. nov.として記載するとともに,スラウェシ区におけるアマミウラナミシジミ属とその近縁属(sensu TITE,1963)について分類学的再検討を行った.その結果,スラウェシ区にはアマミウラナミシジミ(Nacaduba)属12種,ヒメウラナミシジミ(Prosotas)属6種,Ionolyce属1種,Catopyrops属2種,Petrelaea属1種が分布することを確認した.なお,ここで扱うスラウェシ区とはインドネシアのスラウェシ本島とTalaud,Sangihe,Sula,Banggai,Tanahjampeaなどの周辺の各諸島を含む地域である.分布データについては,原記載地の他に,Project Wallaceで採集された標本,ならびにロンドンの大英博物館,ライデンの自然史博物館などに所蔵されている標本をもとに確認,追加した.今回新種として記載したNacaduba angelae sp. nov.はpavana groupのhermus comlex(sensu ELIOT)に含まれ,その中のN.sanayaに最も近縁である.本種はスラウェシの北部でのみ発見されているが,スラウェシの中〜北部,フィリピンに分布するN.sanaya metallicaとはスラウェシ北部で同所的に分布する.本種は前後翅裏面の亜外縁黒斑がよく発達し,後翅裏面肛角部には黒斑が発達し,燈赤色斑ならびに青(緑)色の金属光沢鱗を欠くことでN.sanayaと区別できる.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 41 (4), 227-241, 1990

    日本鱗翅学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ