近世初期における指示詞「これ」の感動詞化 Grammatical Changes in kore in the Early Edo Period

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抄録

本稿は,従来認知的な概念拡張として説明される指示詞「これ」の感動詞化を,近世初期に生じた通時的な文法変化として捉え直す。変化の過渡期にあったと考えられる中世末期の口語資料や近世初期の狂言台本においては,'動詞命令形を述部とする動詞述語文の目的語'が指示詞「これ」である場合,その述部が「見る」系の動詞であれば助詞「を」を表示せず([これφ+見よ]),その他の動詞であれば助詞「を」を表示する([これを+その他])という相補分布が見られる。「これ」の感動詞化は,このうち,[これφ+見よ]構文において述部の項であった「これ」が述部と切り離され,感動詞へと文法的位置付けが変化する([目的語+命令形述部]→[感動詞+動詞述語文])という'再分析'によって生じた文法変化と見る。本稿の帰結は認知的要因による説明と完全に対立するものではなく,この変化には統語的条件も存在することを実証的に提示するものである。

It is considered that "kore" underwent grammatical change from demonstrative to interjection in the early Edo period. At the end of the Muromachi period, if the object in a sentence where the predicate was the imperative of the verb "miru" was the demonstrative "kore", then the particle "wo" was abbreviated (koreφ+miyo). The grammatical change above can be interpreted as a change in grammatical category through the reanalysis of "kore" which was syntactically the object.

収録刊行物

  • 日本語の研究

    日本語の研究 6(2), 1-15, 2010

    日本語学会

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110007730133
  • NII書誌ID(NCID)
    AA11998386
  • 本文言語コード
    JPN
  • ISSN
    1349-5119
  • NDL 記事登録ID
    10636927
  • NDL 雑誌分類
    ZK22(言語・文学--日本語・日本文学)
  • NDL 請求記号
    Z71-M894
  • データ提供元
    NDL  NII-ELS  J-STAGE 
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