陽明本孝子伝の成立

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  • ヨウメイボン コウシデン ノ セイリツ

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陽明本孝子伝は日中の文学史、美術史上、比類のない価値をもつ書物であるが、反面謎もまた、多い。そして、その謎の最たるものが、陽明本の成立時期の問題と言えよう。幸い陽明本には、西野貞治氏による極めて優れた研究があって(「陽明本孝子伝の性格並に清家本との関係について」、『人文研究』7・6、昭和31年7月)、西野氏は、その六朝末期成立説を提示されている。ところが、西野論文以後、発見の相継ぐ漢代-六朝期の孝子伝図と陽明本との密接な関連は、屡々西野説と抵触し、陽明本の成立時期の再考を促すものとなっている。小稿は、陽明本成立の契機に漢代の過礼があることを認め、その基幹部分が漢代に成立したこと、即ち、漢代孝子伝を継承することを考証し、また、六朝斉末、梁初頃の改編を想定しようとする。小稿は、緒言を含め、全八章から成っている。その各章は、陽明本の各条と過礼との具体的関連を明らかにしつつ、それらの孝子伝への編入動機が、漢代固有のものであることを指摘する。また、各条に対する西野説を検討し、その訂正、補説を試みるものである。

identifier:KG001400000470

Journal

  • 京都語文

    京都語文 14 57-136, 2007-11-24

    佛教大学国語国文学会

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