鷗外のサービス精神 : 本保義太郎筆録「美学」ノートの独自性

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  • オウガイ ノ サービス セイシン ホンボ ギタロウ ヒツロク ビガク ノート ノ ドクジセイ

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鷗外は、明治二十九年から三十二年まで東京美術学校で嘱託として、美学と西洋美術史を講じた。これらについて本保義太郎の筆記ノートがあることは、かなり以前に報告されているが、翻刻がなされていないため、研究が遅れており、『審美綱領』とほぼ同様の内容であるとの資料紹介者の見解が踏襲されている。だが、実際ノートに接してみると、『審美綱領』と内容的対応はあるものの、少なくとも冒頭部分については独自性が顕著である。特に導入部では「肉感」という『審美綱領』に見られない感覚が重要概念として提示されている。この語は『審美論』、『美の哲学』に見ることができるが、いずれにおいても重要概念ではない。鷗外はハルトマンを離れて勝手にこの概念を重要概念に仕立てているが、これは美術の製作者を目指す学生を意識した教師としてのサービス精神の現われだったのだ。

森鷗外

美学

ハルトマン

本保義太郎

『審美綱領』

identifier:BO009100003853

Journal

  • 文学部論集

    文学部論集 91 13-22, 2007-03-01

    佛教大学文学部

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