2成分系混合有機溶剤の蒸発に伴う環境気中濃度の経時変化の予測法

  • 保利 一
    産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学講座
  • 石田尾 徹
    産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学講座
  • 石松 維世
    産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Method of Estimating Changes in Vapor Concentrations Continuously Generated from Two-Component Organic Solvents

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抄録

産業現場で使用される有機溶剤の多くは, 混合有機溶剤である. 有機溶剤は, 蒸気圧や極性などが異なるため, 混合したときの液相の組成と気中の蒸気濃度の組成比は, 一般に異なる. また, 蒸発に伴って液相中の組成も変化するので, 蒸気濃度も経時的に変化する. そこで容器内に入れた2成分の混合有機溶剤が連続的に蒸発したときの気中の濃度変化を調べるとともに, 気中の蒸気濃度を予測するモデルを作成した. 直径3cm, 高さ3cmの円筒形の容器に2種類の溶剤を所定量入れ, 直径10cm, 高さ15cmの密閉したガラス容器内に静置した. 流量150ml/minの空気をガラス容器内に導入し, 容器を出る蒸気をオートガスサンプラーにより一定時間間隔でサンプリングし, 水素炎イオン化検出器(FID)付ガスクロマトグラフで濃度を計測した. 溶剤は酢酸エチル-トルエン系およびメタノール-トルエン系とした. 揮発性の高い溶剤(酢酸エチルまたはメタノール)の濃度は最初は高く, 時間とともに減少する傾向が見られた, 一方, 揮発性の低い溶剤(トルエン)は最初低く, 時聞とともに上昇した. 気液平衡理論および物質移動速度論を用いて, 発生する蒸気濃度の推算モデルを作成し, 実験値と比較検討した結果, 両者は実験値と比較的良好な一致を示した.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 32 (4), 293-302, 2010

    学校法人 産業医科大学

被引用文献 (1)*注記

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