線維筋痛症と否定的感情(<特集>慢性疼痛の心身医学)

  • 村上 正人
    日本大学医学部附属板橋病院心療内科:日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
  • 松野 俊夫
    日本大学医学部附属板橋病院心療内科
  • 金 外淑
    日本大学医学部附属板橋病院心療内科:兵庫県立大学看護学部心理学科
  • 三浦 勝浩
    日本大学医学部附属板橋病院心療内科:日本大学医学部内科学系血液膠原病内科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Fibromyalgia and Negative Emotion(<Special Issue>Psychosomatic Medicine for Chronic Pain)
  • 線維筋痛症と否定的感情
  • センイキンツウショウ ト ヒテイテキ カンジョウ

この論文をさがす

抄録

線維筋痛症(fibromyalgia:FM)は長期にわたる筋骨格系の広汎性疼痛を特徴とする慢性疼痛のモデルともいえる疾患である.FMの発症と臨床経過には多くの心理社会的要因が関与しており,しばしばその症状は天候,環境,社会的出来事,心理社会的ストレス,身体的状況によって悪化する.時にFM患者の痛みや多彩な症状は怒り,恨み,不安,破滅的で抑うつ的な気分に敏感に影響を受ける.そのような情動形成には強い強迫性,熱中性,完全性,神経質さなどのパーソナリティ特性や,いわゆる偏った「人生脚本」に基づいた過剰適応や自己禁止令などのライフスタイルも関与する.否定的感情,それに引き続いて生じる心身の疲弊は全身の筋骨格系や内臓の筋攣縮や虚血,過敏性などを惹起し,痛みを増強させ遷延化させる.これらの情動的ストレスやパーソナリティ上の問題の解決と治療のためには,薬物療法に加え,認知行動療法,交流分析,ブリーフセラピー,その他の専門的心理療法の組み合わせの有効性が期待できる.このようにFMの病態評価や治療のためには心身医学的な視点からの配慮が重要である.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 50 (12), 1157-1163, 2010

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (21)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ