精神科ニューロングステイ患者の入院生活の体験

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タイトル別名
  • The Hospital Experience of New-Long-Stay Patients in the Psychiatric Ward
  • セイシンカ ニューロングステイ カンジャ ノ ニュウイン セイカツ ノ タイケン

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抄録

本研究の目的は、精神科ニューロングステイ患者の入院生活の体験について構造的に明らかにすることである。  研究参加者は、男性5名、女性2名の計7名で、全員が統合失調症の診断を受けていた。平均年齢は45.57歳で、平均総入院期間は156ヶ月、平均入院回数は5.71回であった。また、データ収集時の入院期間は平均32ヶ月であった。データは半構造化面接により収集し、面接時間は一人あたり平均75分であった。研究参加者の許可を得て面接内容を録音し、逐語録を作成した。メタ研究法として構造構成的質的研究法(Structural-construction qualitative researchmethod; SCQRM)を位置づけ、分析枠組みとして修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(Modified groundedtheory approach; M-GTA)を採用し、分析した。  分析の結果、77概念から23サブカテゴリと7カテゴリを生成した。さらにカテゴリ間の関係性を探索する過程で1コアカテゴリを追加した。これらカテゴリ間の関連性の検討を基に、精神科ニューロングステイ患者の入院生活の体験を構造化したモデル図を作成した。  精神科ニューロングステイの患者は、【長期入院システムの取り込み】を基軸として、《長期入院生活に伴う収穫》と《長期入院生活に伴う受難》を体験していた。そして、長期入院生活とは乖離した《退院と“ふつう”の暮らしを希求》して、その希望にそって退院支援が進められるなかで、《退院準備状態》と《退院準備不足状態》が同時に生じていた。このような退院準備状況のアンバランスな状態は、患者のなかに《退院に向けた心理的葛藤》を引き起こし、この葛藤状態を解消するために、患者は《葛藤状況への構え》をとっていた。

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