またぐかくぐるかという行為の判断の発達的変化

  • 上野 将紀
    東京学芸大学教育学研究科(現)栃木県立富屋特別支援学校
  • 奥住 秀之
    東京学芸大学教育学部特別支援科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Developmental Changes in Judgment of the Actions of Stepping-Over or Passing-Under
  • マタグ カ クグル カ ト イウ コウイ ノ ハンダン ノ ハッタツテキ ヘンカ

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抄録

本研究は,4〜15歳の子ども及び成人における眼前のロープを通り抜ける際の「またぐ」か「くぐる」かの行為の選択について,障害物の物理的な高さと下肢長との関係の年齢変化を検討することを目的とした。実験参加者は4〜15歳児128名,成人18名である。実験参加者は,2本のバーに水平に結ばれたロープを,またぐかくぐるかのどちちかの方法で通り抜けた。またぐ高さの最大値を転換点,またいで身体がロープに触れなかった高さの最大値を成功点と定義し,それぞれを下肢長で除して(基準化して)転換比と成功比を求めた。結果は以下の通りである。転換比も成功比も7歳以降で成人とほぼ同じとなり,それは約0.7〜0.8であった。4〜6歳においては,成功比,転換比とも,成人値よりも有意に小さかった。性差については,転換比は女性より男性で高いが,成功比に差はなかった。以上から,またぐかくぐるかの行為の判断は自己の下肢長とまたぎ越す事物の物理量との関係で選択されていること,7歳以降ですでに成人と同程度にまでその判断が可能になること,4〜6歳では成人よりも低い高さで行為を転換させるが,それは自らの下肢長や運動能力の知覚と関係している可能性があること,女性の転換比の小ささはリスク回避という特性に関係していることなどが示唆された。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 22 (2), 101-108, 2011

    一般社団法人 日本発達心理学会

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