東恩納寛惇と沖縄史学の展開  [in Japanese] Kanjun Higaonna and the Development of Okinawa Historical Study  [in Japanese]

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 東恩納寛惇(1882-1963,以下は東恩納)は近代沖縄を代表する沖縄史研究者である。東恩納は東京帝国大学文科大学においてドイツ実証主義史学の影響を受け,文献の考証を中心とする実証主義的な史学を学んだ。大学卒業後に法政大学,拓殖大学などで教鞭をとる傍ら,沖縄史および琉球史に関する史料蒐集に努め,その分析を通して多くの研究成果を残している。しかし東恩納についてはその研究業績が取り上げられることが多いものの,東恩納という人物をとり上げた研究は皆無といってよい。本稿は東恩納の経歴をたどりながら,東恩納が沖縄史学を形成していった過程を追った。 東恩納は実証的な歴史研究に終始した研究者である。東恩納の研究業績を分類すると,大きく四つに分かれる。すなわち,(1)琉球の貿易に関する研究,(2)地名人名の研究,(3)琉球の文化に関する研究,(4)主要な古典の校注,である。これらの研究業績に共通しているのは,徹底した実証主義に基づいていたという点である。東恩納は在京のままで史料分析によって多くの研究業績を残した。東恩納の沖縄史学は,戦後の沖縄問題を考えるきっかけを与えている。 戦後の沖縄では,東恩納が在京のままで,郷土の現状認識が欠落しているという理由で,歴史を振り返ることには無理があると指摘されたこともあった。また東恩納は実証主義史学に徹しているにもかかわらず,戦後になって強引ともとれる発言をして批判されている。しかしこれは沖縄の現状に対する危機意識の現れであった。東恩納は戦後沖縄の復興状況をみて,精神面での復興を訴えて,沖縄の人々に精神的な自立を求めた。 東恩納の沖縄史学には,強烈な郷土意識が流れている。しかしながら東恩納の研究は郷土意識に流されることなく,実証主義に徹していた。その研究は日本に残る史料類だけでなく,広くアジア地域に残る史料類を蒐集して,アジアとの関連を視野に入れた先駆的なものであったといえる。1 はじめに2 沖縄復興をめぐる論争3 歴史学への途4 沖縄史の実証的研究5 沖縄史への視点6 歴史学の構築7 沖縄史学の基礎8 結びにかえて―歴史学の課題

Journal

  • Kyoto Sangyo University essays. Humanities series

    Kyoto Sangyo University essays. Humanities series 43, 14-46, 2011-03

    Kyoto Sangyo University

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    110008678081
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN0006019X
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    Departmental Bulletin Paper
  • Journal Type
    大学紀要
  • ISSN
    02879727
  • NDL Article ID
    11035285
  • NDL Source Classification
    ZV1(一般学術誌--一般学術誌・大学紀要)
  • NDL Call No.
    Z22-1677
  • Data Source
    NDL  NII-ELS  IR 
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