金属酵素作用機序に触発された精密設計金属錯体触媒の開発

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タイトル別名
  • Development of metal-complex catalysts inspired by the action mechanism of metalloenzymes
  • キンゾク コウソ サヨウ キジョ ニ ショクハツ サレタ セイミツ セッケイ キンゾク サクタイ ショクバイ ノ カイハツ

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抄録

芳香環を一段階で水酸化する反応は製薬などの多様な化学プロセスにおいて重要,且つ,望ましい化学反応である.本反応は困難ではあるが,チトクロムP450やプテリン依存性酵素やチロシナーゼのような酸素活性化金属酵素によって達成されている.プテリン依存性酵素では,還元型プテリンの力を借り,単核非ヘム鉄中心で分子状酸素が活性化され,鉄2価アルキルペルオキソ種が生成する.鉄2価アルキルペルオキソ種の酸素-酸素結合がイオン的に開裂し,鉄4価オキソ種が生成する.この高原子価鉄オキソ種はその求電子性のために芳香環水酸化反応を達成することができる.この見事な化学反応機構は,高原子価鉄オキソ種を介した芳香環の直接水酸化を触媒的に行う,芳香環水酸化酵素の機能モデル錯体の創成へと多くの研究者を駆り立ててきた.活性種は鉄錯体と過酸化水素との反応によって発生させることができるが,多くの場合,外部基質が無選択的に酸化されたり,鉄錯体自身が分解されたりする.この様に,鉄3価ヒドロペルオキソ種の酸素-酸素結合はラジカル的ではなく,イオン的に開裂しなくてはならない.本論文では,過酸化水素を酸化剤とし,芳香環の直接水酸化反応を触媒する単核非ヘム鉄錯体の開発の最近の進展を総括する.

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