鉄道運賃計算アルゴリズム : Suica/PASMO利用可能範囲のJR東日本510駅の運賃を対象とした場合

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タイトル別名
  • A FARE CALCULATION ALGORITHM FOR RAILWAY NETWORKS : A CASE STUDY INVOLVING 510 JR STATIONS WITHIN THE SUICA/PASMO SYSTEM
  • テツドウ ウンチン ケイサン アルゴリズム : Suica/PASMO リヨウ カノウ ハンイ ノ JR ヒガシニホン 510エキ ノ ウンチン オ タイショウ ト シタ バアイ

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抄録

鉄道運賃は,基本的に乗車距離が長くなればなるほど高くなるように設定されているが,同じ距離でも,会社によって,さらには同じ会社内でも地域や路線によって異なる料金が設定されている.さらに,乗車区間によっては割引ルールや特定の運賃が設定されていることなどから,最短経路の運賃が最安になるわけではない.運賃計算では,利用者の乗車経路が明確でない場合,乗車可能経路の中から最も安い運賃となる経路を利用したとみなし,その運賃を採用するルールが設定されている.そのため,与えられた2駅間の正しい運賃を計算するためには,その2駅間の乗車可能経路の運賃を全て,もしくはその1部を列挙して判断する必要があると考えられてきた.これに対し,我々は2008年,複数の鉄道会社を含む鉄道ネットワークにおける最安運賃経路探索用ネットワークFarenetと探索アルゴリズムを提案し,これを利用した自動改札機用運賃計算エンジンの実用にいたった.本論文では,Farenet構築の基盤となった1会社内の運賃計算,具体的には,首都圏エリアで利用可能であるICカード乗車券Suica/PASMOの適用範囲に含まれるJR東日本510駅の全2駅間(129,795組)に対して行った運賃計算について報告する.4つの対キロ運賃表と複数の運賃計算ルールが存在するこの運賃計算において,異なる地域・路線を考慮した部分ネットワークとダイクストラ法を利用することにより,多くの経路を列挙する従来の運賃計算方法において数時間要していた計算を,約1秒で処理することに成功した.論文の最後では,アルゴリズムの効率を示すとともに,対象ネットワークが持つ運賃計算上の特徴についても報告する.

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