エイゼンシュテインの「パトス」について

  • 孫 于景
    武蔵野美術大学大学院造形研究科博士後期課程造形芸術専攻環境形成研究領域3 年

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タイトル別名
  • On Eisenstein's "Pathos"

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抄録

私は理論において、エイゼンシュテインの論文「パトス」に共感を覚える。自分の作品は手法によって成立するもので、さらにこの手法だけを、長時間持たせて見せるために制作することは、非常に実験的な試みであろう。このような私の制作の方法やスタンスを代弁するものが、エイゼンシュテインの「パトス」理論ではないかと考えるようになった。「パトス」はエイゼンシュテインが1946 年から1947年に執筆した( 註1)自身の論集の一部である。エイゼンシュテインの「パトス」は、日本では1973 年から1993 年にかけて刊行された『エイゼンシュテイン全集( 註2)』の内、1984 年刊行の『エイゼンシュテイン全集第8 巻 作品の構造について( 註3)』に収録されている。エイゼンシュテインはパトスという言葉を通じて、多岐にわたる芸術ジャンルを分析、提示した。エイゼンシュテインにおける「パトス」とは手法や操作による作品制作の方法論である。私自身の制作においても必ず時間の操作を行うものである。絵画や写真と同様に映像( 動画)も質的操作や形態操作、手法による飛躍は可能である。しかし、他の芸術と比べ、映像が持つ最大の特徴は時間軸にあると言える。エイゼンシュテインの「パトス」の中には自身の映画作品における実践、映像の未来図が述べられている。私は本論において、映像におけるパトスの手法の中でも、映像独自のパトスを見出していくことにする。註1 エイゼンシュテイン全集刊行委員会訳『エイゼンシュテイン全集第8 巻 作品の構造について』、キネマ旬報社、1984 年、200 頁。註2 エイゼンシュテイン全集刊行委員会訳『エイゼンシュテイン全集』、キネマ旬報社、1973-1993 年。註3 エイゼンシュテイン全集刊行委員会訳『エイゼンシュテイン全集第8 巻 作品の構造について』、キネマ旬報社、1984 年。註4 前掲、『エイゼンシュテイン

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1572261552801888000
  • NII論文ID
    110009005055
  • NII書誌ID
    AA12312425
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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