超音波とナノバブルを用いた薬剤導入による新しい根管内無菌化法の開発

  • 江場 久哲
    国立長寿医療研究センター歯科口腔先進医療開発センター再生歯科医療研究部:愛知学院大学歯学部歯内治療学講座
  • 庵原 耕一郎
    国立長寿医療研究センター歯科口腔先進医療開発センター再生歯科医療研究部
  • 立花 克郎
    福岡大学医学部解剖学講座
  • 鈴木 一吉
    愛知学院大学歯学部歯内治療学講座
  • 堀場 直樹
    愛知学院大学歯学部歯内治療学講座
  • 中村 洋
    愛知学院大学歯学部歯内治療学講座
  • 中島 美砂子
    国立長寿医療研究センター歯科口腔先進医療開発センター再生歯科医療研究部:愛知学院大学歯学部歯内治療学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Novel Method for Disinfection of Root Canal System by Enhanced Delivery of Medicaments using Ultrasound with Nanobubbles

この論文をさがす

抄録

感染根管治療における無菌化は,治療の成否に大きく関与する.しかしながら,根管は閉塞・狭窄,湾曲,側枝・副根管の存在などにより,しばしば根管拡大・清掃が困難で貼薬剤が到達できず,完全無菌化が困難となり治療期間の延長を余儀なくされる.さらに根管拡大形成による歯質の損失は,歯の破折・抜歯の要因となり,予後に大きな影響を及ぼす.そこで本研究では,短時間で根管内を完全に無菌化する方法の開発を目的として,ナノバブルと超音波を併用することにより,根管内の薬剤を象牙細管深くまで浸透させるための最適な導入条件を検討した.粒径0.2〜0.3μmのピークを示すナノバブルを用いた場合,濃度5%は10%に比べて,また超音波の電圧30Vは31Vに比べて,イヌ抜去歯の象牙細管深部への薬剤導入が有意に多量に認められた.また,イヌ抜去歯の象牙細管内にgreen fluorescent protein (GFP)で標識されたEnteyococcus faecalisを感染させ,72時間後に処置を行い,さらに48時間培養後に150μmの厚みの切片を作製し,共焦点レーザー顕微鏡にて無菌化を検討した.その結果,薬剤アンピシリンを根管内に注入して5%ナノバブルと超音波電圧30Vを120秒間適用することにより,薬剤のみやナノバブルと超音波のみに比べて有意にGFP蛍光の減少がみられた.以上のことから,ナノバブルと超音波を併用することで,象牙細管内に薬剤を深く浸透させ,根管内を短時間に無菌化できる可能性が示唆された.

収録刊行物

参考文献 (35)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ