手賀沼流域における植被率と水生植物の種多様性の特性 : 流域の入れ子構造に着目した把握

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タイトル別名
  • Relationship between vegetation cover and aquatic plant diversity across six sub-watersheds surrounding Lake Teganuma, Japan
  • テガヌマ リュウイキ ニ オケル ショクヒリツ ト スイセイ ショクブツ ノ タネ タヨウセイ ノ トクセイ : リュウイキ ノ イレコ コウゾウ ニ チャクモク シタ ハアク

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抄録

手賀沼流域における植被率と水生植物の種多様性およびそれらの関係を小流域間で比較し、各小流域における水生植物群集の特徴を明らかにするために、水生植物の種組成と、集水域面積および植生域を地理情報システムとリモートセンシング技術を用いて解析した。数値標高モデルを用いて手賀沼流域を6つの小流域と、小流域を構成する河川の次数に応じた集水域に区分した。また、ASTERデータから正規化植生指数を算出して植生域を定義した。その結果、水生植物のGleasonの多様度指数は、手賀沼流域東部の亀成川小流域(5.65)や、直接流入小流域(4.57)で高い一方、流域西部の大堀川小流域では特に低い(1.16)ことが示された。また、亀成川小流域の植被率は23.3%と高かったが、流域西部の大津川小流域や大堀川小流域では、3.7%や1.9%と低い値を示した。亀成川小流域では、ツツイトモやイトモなどの千葉県レッドデータブックに記載される沈水植物も確認された。大津川小流域や大堀川小流域など流域西部の小流域では、主にヨシなどの在来の抽水植物が確認され、特に、染井入落小流域では抽水植物しか確認されなかった。在来種および外来種に分けて集水域の次数ごとに多様度指数と植被率の関係をスピアマンの順位相関を用いて解析したところ、在来種には植被率が高いと多様度指数が高い傾向がみられた一方、外来種には、2次の集水域を除けば明瞭な傾向はみられなかった。手賀沼流域における水生植物の種多様性は、森林などの植生が残存する亀成川小流域や直接流入小流域に出現した千葉県レッドデータブック掲載種や在来種によって維持されていることが示された。また、外来種は手賀沼流域全体で確認された。

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参考文献 (62)*注記

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