赤色蛍光強発現遺伝子導入マウスにおける蛍光発現部位の形態学的検討

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  • Anatomical analyses on the expression of the fluorescence in tdTomato transgenic mice

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抄録

赤色蛍光強発現遺伝子導入マウス(tdTomatoマウス)は再生医療研究のバイオイメージングにおいて有望視されている実験動物である.特に,このマウスから採取した組織再生性細胞や組織片をヌードマウスなどの重症複合免疫不全マウスに移植してその組織再生能力を評価する実験系においては,移植後の細胞や組織片の体内動態をその赤色強蛍光を追跡することによりリアルタイムに観察できると期待されている.しかし,このマウスと既存の緑色蛍光強発現遺伝子導入マウス(EGFPマウス)とのバイオイメージングに関する有用性を比較した例はない.今回,我々はtdTomatoマウスの成体においてIVIS^<[○!R]> Lumina Imaging Systemを用いて蛍光シグナル強度を測定し, EGFPマウスと比較検討した.さらに同一試料における各蛍光タンパクのmRNA発現量を計測し,蛍光イメージングの結果と比較した.またtdTomatoマウスについては,生後7日齢を用いて全身の凍結連続切片を作製し,各臓器における組織レベルでの蛍光発現の詳細な検索を行い,蛍光イメージングならびにmRNA発現量との比較を行った.その結果, tdTomatoマウスより摘出されたほぼ全ての臓器において, IVIS^<[○!R]> Lumina Imaging Systemによる高い蛍光シグナル強度が認められたが, EGFPマウスでは肝臓,脾臓,腎臓において顕著な蛍光発現が認められず, EGFPの発現に臓器特異性が存在する可能性が示唆された.また各臓器のtdTomato mRNA発現量もIVIS^<[○!R]> Lumina Imaging Systemにより観察された蛍光シグナル強度と同様の傾向を示した.加えて, tdTomatoマウスの組織切片による観察では,ほとんどの臓器の細胞で蛍光発現を確認できた.しかしながら,蛍光イメージング, mRNA発現量,組織切片による観察結果において,同様の傾向を示さない臓器も認められたことから,今後,このような研究や検証には切片法を含めた複数の手法を用いる必要が示唆された.以上の結果から総合して判断すると, tdTomatoマウスは,既存のEGFPマウスと比較して,その移植実験への応用性の点で有用性が高いことが示唆された.

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