北太平洋中層水の形成・輸送・変質過程に関する研究

  • 安田 一郎
    東京大学大気海洋研究所海洋生命システム研究系海洋生物資源部門環境動態分野

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on the formation, transport and modification of North Pacific Intermediate Water
  • 2011年度日本海洋学会賞受賞記念論文 北太平洋中層水の形成・輸送・変質過程に関する研究
  • 2011ネンド ニホン カイヨウ ガッカイショウ ジュショウ キネン ロンブン キタタイヘイヨウ チュウソウスイ ノ ケイセイ ・ ユソウ ・ ヘンシツ カテイ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

<p>北太平洋中層水の形成・輸送・変質過程について受賞者の研究を総括した。厚い低温低塩分水塊が,海氷形成に伴う陸棚高密度水沈降や千島列島付近の強い乱流鉛直混合に影響されて形成される。このオホーツク海モード水が太平洋へ流出し,薄い太平洋水と混合して親潮水が形成される。厚い性質を保持した親潮水の一部は,北海道・東北沿岸を南下し,黒潮続流と合流・混合して,北太平洋中層水を更新する。黒潮水と親潮水の等密度面混合は,厚い中層親潮水に起因する不安定によって促進される。北太平洋中層水は,亜熱帯循環に沿って輸送され北太平洋亜熱帯循環域に広く分布する。その北端部分は,移行領域と呼ばれる海域で低塩分亜寒帯水が表層に層重し,塩分極小が消失した海水が,アラスカ湾に流れ込み,北太平洋亜寒帯海域での中暖構造を作る。北太平洋亜寒帯中層は,この高温高塩分水の流入とオホーツク海での低温低塩分水の流入でほぼバランスしている。千島列島付近やアリューシャン列島付近の潮汐に起因する乱流鉛直混合は,水塊変質と変動に大きな影響を与える。潮汐18.6年周期変調は水塊変動の一因であり,海洋を通じて気候にも影響を与えている。</p>

収録刊行物

  • 海の研究

    海の研究 21 (3), 83-99, 2012-05-15

    日本海洋学会

参考文献 (185)*注記

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