難培養性細菌種のゲノム完全長配列取得による機能解明

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タイトル別名
  • Functional analysis of uncultured bacterial species by acquiring their complete genome sequences
  • シンポジウム 難培養性細菌種のゲノム完全長配列取得による機能解明
  • シンポジウム ナン バイヨウセイ サイキンシュ ノ ゲノム カンゼンチョウ ハイレツ シュトク ニ ヨル キノウ カイメイ

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抄録

環境中の大部分の微生物種は難培養性であり,それらの生理・生態は未知である。そうした難培養微生物種の機能を解明するために,少数の細胞からのゲノム完全長配列解析系の確立を試みた。標的としたのは,シロアリ腸内共生原生生物の細胞内に,さらに共生する培養不能細菌2種(Rs-D17, CfPt1-2)である。各々の宿主原生生物種の1細胞を単離し,細胞内共生細菌を数百個漏出させて回収した。それら細菌細胞をアルカリで溶解・変性して,Phi29 DNA polymeraseで等温全ゲノム増幅を行った。その結果,共に1.1Mbの完全長の環状染色体配列再構築に成功した。これらの全代謝系を予測したところ,宿主原生生物によるリグノセルロース分解の産物を炭素とエネルギー源とする,多様なアミノ酸やビタミン類の合成に特化した,オルガネラのような進化を遂げてきた細菌であることが判明した。特に,CfPt1-2は空中窒素を固定する能力を持つことが初めて明らかとなった。今後は,同手法を進化させ,単一の微生物細胞から全ゲノム配列を解読する,シングルセル・ゲノミクスの確立が期待される。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 64 (2), 77-80, 2010

    日本土壌微生物学会

参考文献 (17)*注記

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