培養ヒト歯根膜由来上皮細胞および線維芽細胞間相互作用によるエナメルマトリックスおよびプロテアーゼの調整

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  • Regulation of Mineralization at the Interface between Epithelial Cells and Fibroblasts from Human Periodontal Ligament

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抄録

歯の萌出後,断裂して残った上皮細胞の集団であるマラッセの上皮遺残は上皮-間葉間相互作用によって歯根膜の恒常性維持に関与している可能性がある.エナメルマトリックスタンパク質のamelogenin, ameloblastinおよびエナメルマトリックスプロテアーゼのMMP-20, KLK4はエナメル質形成に大きく関与するが,セメント質形成後の関与に関してはいまだ不明である.本研究では,マラッセの上皮遺残由来上皮細胞と歯根膜由来線維芽細胞を同一シャーレ内で共培養し,その細胞間相互作用によるamelogenin, ameloblastin, MMP-20およびKLK4の発現に関する検討を行った.東北大学病院口腔外科外来で抜歯した第三大臼歯より歯根膜組織片を採取し,無血清混合培地により同一組織片より上皮細胞および線維芽細胞を培養した.上皮細胞および線維芽細胞間の境界部を確認した後,サンプルとして実験に用いた.細胞は,10分間4%paraformaldehydeで固定後,通法に従いin situ hybridization法,半定量的RT-PCR法にてamelogenin mRNA, ameloblastin mRNA, MMP-20 mRNA, KLK4 mRNAの発現を解析した.コンドルとして,上皮細胞のみを培養したものを用いた.in situ hybridization法では,共培養したサンプルの上皮細胞にamelogenin mRNA, ameloblastin mRNA, KLK4 mRNAの発現が強くみられたが,MMP-20 mRNAは発現がみられなかった.コントロールの上皮細胞はamelogenin mRNA, ameloblastin mRNAの発現が強くみられ,KLK4 mRNAの発現は弱かった.MMP-20 mRNAは発現がみられなかった.RT-PCR法では,amelogenin mRNAの発現に有意差はみられなかった.また,共培養したサンプルにameloblastin mRNAおよびKLK4 mRNAの有意な発現がみられた.一方,MMP-20 mRNAの発現はいずれも観察されなかった.上皮細胞-線維芽細胞間相互作用によってamelogenin, ameloblastin, KLK4およびMMP-20の発現が調節されていることは,歯の萌出後,マラッセの上皮遺残が歯根膜に影響を及ぼしている可能性を示唆するものと考えられる.

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