同所的オオオサムシ亜属種間の体サイズ差の意味 : 資源分割よりも必要とされる生殖隔離(<特集2>いま種間競争を問いなおす : 繁殖干渉による挑戦) Reproductive isolation rather than resource partitioning : the ecological role of body size differences among closely related species in sympatry(<Feature 2>Reproductive interference and ecological communities)

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著者

    • 奥崎 穣 Okuzaki Yutaka
    • 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻動物生態学研究室 Department of Zoology, Graduate School of Science, Kyoto University
    • 高見 泰興 Takami Yasuoki
    • 神戸大学大学院人間発達環境学研究科進化生態学研究室 Graduate School of Human Development and Environment, Kobe University
    • 曽田 貞滋 Sota Teiji
    • 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻動物生態学研究室 Department of Zoology, Graduate School of Science, Kyoto University

抄録

生態的に似た複数の近縁種が共存するには、種間の資源競争あるいは繁殖干渉が緩和される必要がある。オサムシ科オオオサムシ亜属は、成虫期に多食性の捕食者であるが、幼虫期はミミズ専食である。またオスは異種のメスに対しても交尾行動を示す。彼らは分布域の大部分で2-3種が共存しており、同所的に分布する種間では体サイズが異なっている。この種間の体サイズ差は、幼虫期に捕食可能なミミズのサイズに応じた資源分割をもたらし、資源競争を緩和するかもしれない。また成虫期に異種間の交尾行動を機械的に妨げる生殖隔離として、繁殖干渉を緩和するかもしれない。この2つの仮説を、京都に分布するオオオサムシ亜属4種(山間部の大、中、小型の3種、平野部の大型1種)を用いて検証した。まず、4種の幼虫(1-3齢)に様々なサイズのミミズを与えた。その結果、すべての幼虫は、ミミズのサイズに関わらず捕食行動を示した。またミミズのサイズ増加に伴う捕食失敗は、小型種の1齢幼虫期でのみ観察された。したがって、種間の体サイズ差は資源分割に有効ではないと考えられた。次に、4種の成虫で16通りの雌雄ペアを作り、交尾行動(交尾意欲、マウント、交尾器の挿入、精包形成)を観察した。その結果、体サイズ差が大きい異種ペアでは、交尾意欲があっても交尾器が届かず、挿入ができないペアが多かった。すなわち、種間の体サイズ差による交尾前生殖隔離が成立しており、このことが体サイズ差の大きい近縁種の同所的分布を可能にしていると考えられた。一方、体サイズ差が小さい異種ペア(山間部の大、中型種と平野部の大型種のペア)では、大半のペアで交尾器の挿入が行われ、精包形成まで達成するペアも見られた。このことから、体サイズの似た種が同所的に分布しないのは、資源競争ではなく繁殖干渉のためであることが示唆された。

収録刊行物

  • 日本生態学会誌

    日本生態学会誌 62(2), 275-285, 2012

    日本生態学会暫定事務局

参考文献:  28件中 1-28件 を表示

被引用文献:  2件中 1-2件 を表示

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110009488964
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00193852
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    REV
  • ISSN
    0021-5007
  • NDL 記事登録ID
    024731676
  • NDL 請求記号
    Z18-43
  • データ提供元
    CJP書誌  CJP引用  NDL  NII-ELS  IR  J-STAGE 
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