<総説>微細藻類「バイノス」による放射性物質の除去

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  • ソウセツ ビサイ ソウルイ バイノス ニヨル ホウシャセイ ブッシツ ノ ジョキョ

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抄録

福島第一原子力発電所事故により大量の放射性物質が環境中に放出され,外部被曝および内部被曝による健康被害が危惧されている。これを防止するためにも,環境中や原子力発電所の放射能汚染水の低コストかつ効果的な処理方法の開発が求められている。我々は,微細緑藻類の新種を発見し,それが原子力発電所事故で放出された放射性物質を取り込む事を発見した。この新種微細緑藻類Parachlorella sp. binos(バイノス)は,アルギン酸に富む細胞外マトリックスと葉緑体を豊富に持つ性質がある。放射性セシウムと放射性ストロンチウムの速やかな取り込みが認められ,二次元質量分析法(SIMS)により,ストロンチウムはバイノスの細胞外マトリックスに結合することが判明した。一方,放射性ヨウ素に対しては,光照射に依存する取り込みが認められ,SIMSにより細胞質内へ取り込まれていることが明らかとなった。さらに,福島県の環境中の汚染水と土壌洗浄水に含まれる放射性物質もバイノスに取り込まれ,今回の原子力発電所で放出されたストロンチウム,セシウム,ヨウ素の除染に利用可能であることが示唆された。

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