徳川学の流れ : 方言学から社会言語学へ(<特集>徳川宗賢会長追悼)

書誌事項

タイトル別名
  • Munemasa Tokugawa : A Pioneer in the Transition from Dialectology to Sociolinguistics(<Special Issue>President Munemasa Tokugawa-In Memoriam)
  • 展望論文 徳川学の流れ--方言学から社会言語学へ
  • テンボウ ロンブン トクガワガク ノ ナガレ ホウゲンガク カラ シャカイ ゲンゴガク エ

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抄録

本稿では,徳川宗賢の遺した業績を検討することによって,徳川の学問の特徴を抽出することを試みた.結果をまとめれば次のようになる.徳川は,置かれた状況に対応しつつ,自身の学問の基盤を築き上げてきた.具体的には,(a)徳川には,恩師東条操と,国立国語研究所の先輩柴田武の影響の跡が強く見られる.(b)続いて大阪大学で社会言語学講座を担当するという経験を通して,研究の対象が大きく拡大する.また,具体的な業績については,(C)『日本言語地図』のための調査,糸魚川調査,九学会連合に参加することによって個別的な研究を行うとともに,それらを踏まえたうえで,高所からする方言地理学の理論と方法の深化活動に従事した.(d)また,日本語社会の急激な変貌,日本語の国際化などの現実問題に対応する総合的,実践的な研究分野=ウェルフェア・リングイスティクスを構想した.さらに,誰もが簡単にアクセスできる情報を集積し,研究者間のネットワークを作ることを試みた.自身の思想の独自性よりも,人や環境との相互作用を重んじたところに,徳川の学風があった.

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